ハリルJ、支配率「4:6」の優位性。明確だった狙い。僅差勝負モノにするリアリズム【西部の戦術アナライズ】

8月31日、2018年ロシアW杯アジア最終予選オーストラリア戦に臨んだ日本代表。ボールポゼッションでは相手を下回ったものの、ボール奪取とカウンターに長けた陣容で効率よくゴールを奪取し本大会出場権を確保した。日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、リアリスティックかつ明確な狙いをもってして僅差勝負をモノにしたと言える。(取材・文:西部謙司)

2017年09月01日(Fri)12時15分配信

シリーズ:西部の目
text by 西部謙司 photo Getty Images
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「4:6」の狙い。ボールハンターと速攻要員

オーストラリア戦に臨んだ日本代表のスターティングイレブン
オーストラリア戦に臨んだ日本代表のスターティングイレブン【写真:Getty Images】

【日本代表2-0オーストラリア代表】

 日本のボールポゼッションは38.4%、オーストラリアは61.6%。勝ったのは支配率の低い日本、よくある結果といっていい。

 支配率7:3なら、7のほうが相当な確率で勝利する。ところが、6:4なら「4」のほうが勝つ。統計を調べたわけではないが、そう外れていないと思う。サッカーはそういう傾向のある競技だからだ。

 6:4のゲームで「4」のチームはカウンターアタックを狙っている。「6」のチームはボールを持てるけれども、引いている相手に対して攻撃をすることになる。人数をかけてスペースを消して守る相手を崩して得点するのは簡単ではない。

 一方、「4」のチームはスペースを持ってのカウンターなので攻撃しやすい。7:3になってしまうと「3」のチームは自陣から出られず、チャンスすらなかなか作れない状況になってしまうが、6:4なら「4」のほうがむしろ有利なのだ。

 ハリルホジッチ監督は4:6の試合を挑んだ。オーストラリアはおあつらえ向きの相手だった。

 ポステコグルー監督は展望と勇気のある指導者だと思う。古い英国サッカーのようなフィジカルとパワーによるシンプルなスタイルから、パスをつなぐスタイルへ変えた。これがオーストラリアに本当に合っているのかはともかく必要な要素ではある。将来、このときが分岐点だったといわれる時も来るかもしれない。

 ただし、現時点でのオーストラリアのポゼッション・プレーはまだ板に付いていない。そこそこつなげるが、引いている相手を崩すための方法が明確でない。そのため、容易にボールを持たされている状況に陥る。70%とれるほどのパスワークでもない。最後の答えを持たないパスワークはつなげばつなぐほどミスの確率が上がる。

 日本は長谷部誠、山口蛍、井手口陽介のボールハンター3人を中盤中央に配置した。浅野拓磨、乾貴士のスピードと運動量のある両翼、キープ力抜群でタメを作れる大迫勇也の3トップは完全なカウンター要員だ。

 日本は4人のゾーンでは横幅を守れないが、5人で埋めて人につけば守れる。つながせても怖くない、つなぎすぎればオーストラリアは必ずミスをする。ハリルホジッチ監督の狙いは明確だった。

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