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Jリーグ 6年前

川崎F・谷口彰悟の激怒。奇跡の逆転優勝への覚悟。人事を尽くした先に待つ天命

text by 藤江直人 photo by Getty Images

逆転優勝へつないだ希望。試合後はさわやかな谷口に

リードしている状況で危険なカウンターを受け、谷口はチームを一喝した
リードしている状況で危険なカウンターを受け、谷口はチームを一喝した【写真:Getty Images】

 そして、冒頭で記したように、谷口もチーム全体に対して激怒した。大ピンチを防いだ時点で、スコアはフロンターレが1‐0でリードしていた。もし同点にされ、そのまま終わっていたら、最終節を待たずして今シーズンの戦いが終焉を迎えていた。

 もっとも、そのまま逃げ切り、奇跡の逆転優勝への希望をつないだ試合後の取材エリアには、穏やかな口調とさわやかな笑顔を含めて、紳士的に立ち居振る舞ういつもの谷口に戻っていた。

「自分たちがボールをしっかりもちながら、攻撃する展開になったところでポジションのミスがちょっと出たというか、カウンターを受ける場面があったので。そこは一喝して、なくさせるようにはしました。ただ、そのときの対応というところでも、割と上手く防げたかなと思います。

 こういうサッカーをしていると、ああいうアクシデント的なところからのカウンターというのがけっこう多いので、ある意味で慣れているというか、その対応というのは常に練習でやってきているので。こういう試合で慌てずにしっかり対応できたというのは、非常によかったと思います」

 前半14分にキャプテンのFW小林悠が叩き込んだ、値千金の決勝ゴールの起点になったのも谷口だった。自陣のほぼ中央で、レッズのMF矢島慎也が前方の長澤へ縦パスを入れた直後だった。コースとタイミングを読み切った「5番」が長澤の前へ飛び出して、パスをインターセプトする。

 そのまま右タッチライン際へ開こうしていたMF家長昭博へパス。左サイドバックに入った菊池大介とセンターバックのマウリシオの緩い対応を、球際の激しさで制した家長が利き足とは逆の右足でアーリークロスを一閃。飛び出した小林が、鮮やかなボレーでゴールネットを揺らした。

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