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香川真司 6年前

香川真司、新布陣で感じた手応え。ドルト再生の一手に用いられた前監督の「遺産」

ボルシア・ドルトムントは2日、レバークーゼンと引き分けた。10人相手のドロー。良い結果とは言えないが、香川真司は内容にある程度の手応えを感じている。土壇場で繰り出した新システム。今はこれを信じて突き進むしかない。(取材・文:本田千尋【レバークーゼン】)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

負の連鎖続くドルトムント。香川が緊急出場

香川真司
急きょ出場の香川真司【写真:Getty Images】

 出番はいつ訪れるか分からない。ブンデスリーガ第14節、対バイヤー・レバークーゼン戦の44分。ウェンデルの悪質なタックルをくらって、ゴンサロ・カストロは負傷退場した。

 代わって投入されたのは、香川真司だ。

「(レバークーゼンが)10人になった中で入ったので、得点を求めようと。一人少ないのでどんどんボールを受けて、細かいスペースの中で、打開策を見つけながらどんどんとボールを呼び込めたらいい」

 8分にはヨナタン・ターとの競り合いの中で、既にマキシミリアン・フィリップが負傷退場していた。それでも落ち着いてゲームを運んでいた矢先、30分には、ケヴィン・フォラントに裏に抜け出されて失点——。悪い流れを断ち切ろうと、背番号23はピッチに入った。1度はイエローカードで済んだブラジル人DFも、ビデオ判定を経て、レッドカードを掲げられて退場している。1人少なくなったレバークーゼンを相手に、[3-4-3]の布陣の中で2シャドーの左に入った香川。後半、バイタルエリアの左、敵の[5-3-1]の守備ブロックの間でボールを引き出して、チャンスを演出した。

「あそこで、やっぱりボールを受けた時は相手にとって脅威になると思っているので。それは自分自身が一番感じていることなので、あとはトライするだけなのかなと思います。欲を言えば、あそこでシュートまで持って行きたいですし、あの一番難しい局面でどれだけリスクを冒せるか、そこはこだわらなきゃいけないんでね」

 時に左サイドに流れながら、ラファエル・ゲレイロとのコンビネーションで、チャンスを演出=「トライ」していった。

 52分、ネヴェン・スボティッチから縦パスを受けると、前を向いて、右を走るアンドリー・ヤルモレンコにパスを送る。

 56分、ヌリ・シャヒンから縦パスを受けて、ペナルティエリアの左に走るアンドレ・シュールレにスルーパスを出す。

 ボールを回せてはいてもアタッキングサードに入っていくことができなかった前半に比べ、途中出場の日本人MFを軸に、ドルトムントは連動性を発揮。GKベルント・レノが守るゴールに迫った。ピエール=エメリク・オーバメヤンを出場停止で欠いたが、攻撃陣は、連係面でエースFWの不在を感じさせなかった。

 香川が感じた、ある程度の手応え。

「距離感含めて、みんながお互いの動きを見れていたので。そういうところの流動性だったり、イメージの共有は良くなっているんじゃないかと思います」

 72分、フォラントが抜け出したカウンターのピンチを、GKロマン・ビュルキの好守で防ぐと、直後にビッグチャンスが訪れる。

 香川からパスを受けたゲレイロが、左サイドからエリア内に走り込むシュールレにパス。フィリップに代わってワントップに入ったドイツ人FWの折り返しを、ヤルモレンコがワントラップしてシュート。ボールをゴールの右隅に突き刺した。

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