守備に重き置く新監督。負けないサッカーで勝利となるか
もっとも、今季に入ってケルンが勝てなくなったのは、補強の失敗に依るところが大きい。今夏、天津権健に移籍したアントニー・モデストの代役に獲得したジョン・コルドバは、チームに全くフィットせず。昨季リーグ戦34試合25ゴールのエースFWが抜けた穴は、あまりに大きかった。
既に昨シーズン、続出する怪我人に悩まされ、4半世紀ぶりに欧州の大会への参戦が決定したにもかかわらず、他にも目立った補強はなかった。適切な新陳代謝がなされなければ、新たなシーズンを戦い抜くことは難しい。それはケルンに限らず、ブンデスリーガを戦う全てのクラブに言えることだ。今季もドイツ代表DFヨナス・ヘクトルを筆頭に、主力メンバーに怪我人が相次いでいる。ローテーションを組むどころではなかった。
つまり、戦術的な限界を露呈したボス前監督とは異なり、シュテーガー新監督は、人員不足が主な要因でケルンの指揮官の職を解かれたと言えるだろう。
もちろんBVBも怪我人が相次いでいるので、決して楽観視はできない。それでも戦力値ではケルンを上回っている。少なくとも人的資源が原因でパニックに陥ることは避けられそうだ。
オーストリア人指揮官は、しっかりとした守備組織の構築には定評がある。ケルンの監督に就任して1季目の13/14シーズンは、全18チーム中最小失点でブンデス2部を制覇。その後も守備を重視する手堅いサッカーで、1部への定着を図った。
基本布陣は[4-4-2]だが、対戦相手に合わせて[4-2-3-1]、[4-1-4-1]、[3-5-2]、[5-4-1]など柔軟に対応。また、格上相手の“対策”においても一定の成果を上げている。特にドルトムントに対しては、0-5で大敗した今季を除けば、過去3シーズンで6度対戦し、2勝4分0敗と好成績を残した。
こうした新監督の強みを踏まえれば、“初陣”となる12日の第16節、対1.FSVマインツ05戦では、まず負けないためのサッカーを目指すのではないか。BVBの指揮官に就任して間もなく、十分に練習時間を確保できない中で初戦を迎えることを考えても、最低限の守備組織を整え、FWピエール=エメリク・オーバメヤンを中心とするカウンターで勝機を見出すことになりそうだ。