遠回りしてきた分人一倍理解。限られたチャンスの重要性
遠回りしてきた男には、限られたチャンスの重要性を人一倍理解しているはず。実際、31歳という年齢は決して若くない。「34歳の川島、同い年の西川と30代GKを3人ロシアに連れていくよりは、次世代を担う中村に1枠を与えた方がいい」という判断が下される可能性もゼロではない。
ゆえに、東口は西川をも上回るインパクトを残さなければならない。「ここでやらなければ、ロシア行きはない」というくらいの覚悟を持って、E-1選手権のピッチに立つべきだ。
守りの仕事を確実に遂行したうえで、武器であるロングキックの精度を生かして攻めの起点にもなれれば最高だ。ベタ引きだった北朝鮮とは違い、中国はやや高いラインを敷いて戦うチーム。その分、ハリルホジッチ監督が再三再四、強調する裏を狙うプレーが出しやすい。
「中国は決して引いてこないので、攻撃のクオリティはすごい出る。日本のよさが出せる試合になるんじゃないかと思います。そういう中で自分のキックから1本で展開するのが、一番簡単に取れる得点。スキがあればもちろんやっていきたいですね。仮に引かれることがあれば、1、2個クッションをおいて、相手の視界から飛び出す裏の取り方を工夫させたい」と東口は言う。
先発が有力視される伊東純也(柏)や阿部浩之(川崎)はタテへの推進力に秀でたアタッカー。彼らの一挙手一投足をしっかり見ながら、GKからの鋭いタテのボールが配給されれば、中国守備陣も必ず脅威に感じるはず。
そうやって相手を怖がらせることができれば、日本は勝利にまた一歩近づく。2連勝すれば早々と優勝が決まる可能性もあるだけに、足掛け7年間も黒子としてチームを支え続けてきた苦労人のGKには、その立役者になってほしいものだ。
(取材・文:元川悦子)
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