ドイツサッカーに育まれた曲者スイス。前任者の遺産をベースに4年前の再現へ【ロシアW杯全32チーム紹介】

6月14日に開幕する2018FIFAワールドカップロシア。グループリーグの組み合わせも決定し、本大会に向けて期待感は高まるばかりだ。4年に一度開催されるサッカーの祭典には各大陸予選を勝ち抜いた32チームが参加する。フットボールチャンネルでは、その全チームを紹介していきたい。今回はグループEのスイス代表を取り上げる。(文:本田千尋)

2018年01月10日(Wed)10時00分配信

シリーズ:ロシアW杯全32チーム紹介
text by 本田千尋 photo Getty Images
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堅実なスタイルでW杯の切符を勝ち取った

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4大会連続11回目の出場となるスイス代表【写真:Getty Images】

【スイス代表】
FIFAランキング:8位(2017年12月)
監督: ヴラディミル・ペトコヴィッチ(2014年~)
4大会連続11回目の出場
最高成績:ベスト8(1934年イタリア大会、1938年フランス大会、1954年スイス大会)
欧州予選グループB2位通過
欧州予選PO対北アイルランド戦1-0(2戦合計)

 11月、北アイルランドとのプレーオフを2戦合計1-0で勝ち抜いたスイス代表。ヴラディミル・ペトコヴィッチ監督は、鋼のメンタルと堅実なスタイルで、ロシアW杯本大会出場の切符を勝ち取った。

 54歳の指揮官はサラエボ出身だが、選手時代の大半をスイスで過ごしている。86年7月にFKサラエボからFCチュア97に移籍すると、99年6月に引退するまでスイスリーグでプレー。その後、指導者としてもキャリアの大半はスイス国内のクラブを率いており、12年7月からラツィオで監督を務めた後に、14年8月からスイス代表の指揮官に就任した。フランス開催のEURO2016ではベスト16に進出。同国サッカー協会からの信頼も厚く、17年8月には契約をEURO2020の終了時まで延長している。

 基本的には前任者オットマー・ヒッツフェルトの路線を踏襲。ブラジルW杯で母国をベスト16に導いた老将の遺産をベースに、しっかりとした守備組織から、ソリッドな攻撃を前線に展開する。

 基本布陣は[4-2-3-1]。上下動を惜しまない両SBの高い攻撃力は、スイス代表の持ち味だ。攻撃時には、リカルド・ロドリゲスとステファン・リヒトシュタイナーが積極的にオーバーラップする。ACミラン所属の左SBは、正確なクロスボールをゴール前に供給し、果敢にシュートを打って得点も狙う。ロングボールに合わせて飛び出したユベントス所属の右SBが、ペナルティエリアの中を一挙に陥れることもある。

 中盤の底ではグラニト・ジャカがタクトを振るう。アーセナルに所属するMFの正確なロングフィードは、守から攻へ切り替える上で、重要な役割を果たしている。

 もっとも、ロングボールを主体とする堅守速攻にこだわるばかりではない。前からのプレッシングでショートカウンターを狙うこともあれば、アタッキングサードに人数を掛け、細かくパスを繋いで中央を崩そうとすることもある。ジャカはもとより、デニス・ザカリアやスティーブン・ツバーら足元の技術が高い若手の台頭により、少しずつ創造性が芽生えているようだ。

 しかし、そうしたクリエイティビティの活かし方を、まだ把握し切れていないようである。グループBに入った欧州予選の第9戦ハンガリー戦では、チームとしての比重が前掛かりになると、守備が疎かになってしまった。スコアは5-2と、しっかりとした守備組織を売りにしてきたスイスらしからぬ結果。堅守を維持しつつ、どのように創造性を発揮するのかが、本大会に向けて課題と言えそうだ。

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