理想は首位でのグループ突破
ノルマ:ベスト16
目標:ベスト8
昨年12月のFIFAランキングは51位、W杯の抽選会も一番下の“ポット4”に入り、結果としてアルゼンチン(4位)、クロアチア(17位)、アイスランド(22位)と額面では全て“格上”の相手が入った。しかし、もしかしたら不運なのは対戦相手の3カ国かもしれない。FIFAランキングは過去4年の対戦成績を相手の強さや試合の価値などで算出されるが、ナイジェリアのチーム力を考えれば現在のランキングは明らかに符合しない。
昨年暮れに英国紙の『ガーディアン』でタレント力などに基づくW杯出場国のパワーランキングが発表されたが、ナイジェリアは10位にランクされた。実際に戦力的にはベスト16に進出した4年前より明らかに上がっており、チームの結束力に乱れが生じなければ、癖のある強豪が居並ぶD組を勝ち抜き、4度目のグループリーグ突破を果たしても全く不思議ではないだろう。
問題はそこから先だ。これまで“影の優勝候補”などとも言われた98年W杯を含め、ベスト8への3度の挑戦は全て煮え湯を飲まされる結果となっている。その意味でも理想としてはクロアチア、アイスランドはもちろん、スタートダッシュに不安があるアルゼンチンを上回り、首位突破を果たしたいところだろう。順調に運べば優勝候補フランスといきなりベスト16で当たる事態を避けられるはずだ。
チームの中心は言わずと知れたミケル、さらにモーゼスやオナジなどブラジルW杯組だが、注目したいのはその後に台頭した若手選手たち。特にイウォビとイヘアナチョは大会でさらに評価を高め、その後のクラブシーンでの飛躍につなげる期待が高い。活動量の多いイウォビと左利きで局面打開力に優れるイヘアナチョはタイプが異なるものの、二人とも流れの中でパサーにもフィニッシャーにもなれるスペシャリティは共通する。片方が抑えられればもう片方がフリーになるといった補完関係も抜群だ。
インテンシティーの高い中盤の背後に構える最終ラインでは長身で戦術眼の高いトルースト=エコングと、武藤嘉紀の同僚で抜群の瞬発力を誇るレオン・バログン(マインツ)がセンターバックを組む。GKにやや不安があることもあり、彼らセンターバックの獅子奮迅の働きが勝敗に直結するかもしれない。特にメッシらワールドクラスのアタッカーが揃うアルゼンチンとの対戦では注目ポイントになりそうだ。
(文:河治良幸)
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