昨季終盤にプラスアルファを
最後に念を押したように、ボール保持への意欲はある。しかし、形になりつつある今のサッカーを犠牲にするつもりはない。
「怖いエリアでボールを動かす、あまりこねずに動かす。人とボールが動きながらボックス内、もしくはボックス近くに侵入していくというのは、6連勝の時には勢いでやっていた感じだったけど、終盤になるにつれて良くなった。特にレイソル戦、鳥栖戦、鹿島戦の前半もそうだった。ああいうのが理想かなと」
スピード感を体現するためには瞬時の判断とイメージの共有が求められる。そのためには“自分たち発信”が重要で、これを実践できた時は相手に後手の対応を迫っている。指揮官は、昨シーズンのラスト3試合の戦いを理想とした。結果は1勝1分1敗だったが、内容に関しては満足のいくものだった。
ベースは確実に積み上がってきた。新たに加入したメンバーはいずれも実力者だが、昨シーズンを戦い抜いた選手たちとの競争に勝てなければピッチには立てない。新戦力には、名波ジュビロが目指すサッカーをいち早く吸収することが求められる。彼らがプラスアルファをもたらせればチーム力はさらに上昇し、『トップ5』への道も開けてくるはずだ。
前年6位のチームがその上を目指すのは必然だろう。それでも、一歩ずつという姿勢は変わらない。それは指揮を執る名波監督の言葉からも感じられた。昨シーズン終盤に理想を体現したサックスブルーは、6位がフロックではなかったことを証明できるだろうか。『出来過ぎ』を確信に変える戦いは、すでに始まっている。
(取材・文:青木務)
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