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自分は「谷間の中の谷間」。岩政大樹、独自のキャリアを歩み生まれた自信【谷間の世代と呼ばれて】

シリーズ:「谷間の世代」と呼ばれて text by 元川悦子 photo by Getty Images

「(代表で)心地よくプレーできたことは一度もない」

鹿島では7つのタイトル獲得に貢献した
鹿島では7つのタイトル獲得に貢献した【写真:Getty Images】

 82年1月生まれの岩政も「谷間の世代」に属する選手だが、自身が「谷間の中の谷間」と自虐的に言うように、年代別代表経験が一度もない。それも鹿島の黄金世代に対する劣等感につながっていたのかもしれない。

「僕らの世代には(田中マルクス)闘莉王(京都)、那須(大亮=神戸)、阿部(勇樹=浦和)ちゃん、茂庭(照幸=C大阪)、羽田のように優れたDFが沢山いた。

 その他のポジションを見ても、駒(野友一=福岡)ちゃんや山瀬(功治=福岡)、松井(大輔=横浜FC)、寿人(佐藤=名古屋)や前田(遼一=FC東京)と面白くていい選手が本当に多かった。

 黄金世代ほどじゃないかもしれないけど、所属チームや日本サッカー界への貢献度の高い顔ぶれだったと感じます。

 年代別代表で活躍してきた彼らとは対照的に、僕は一度もそういう経験をしないまま、プロになりました。ユース年代の頃は岩国高校という無名チームでやっていて、山口県2回戦止まり。

 高校選手権優勝とかワールドユースを経験した同世代とは全くの別世界にいた。東京学芸大の時にはユニバーシアードに出ましたけど、それはまた違った経験ですよね。その後、A代表に呼ばれるようになって、一緒のテーブルで食事をすることも増えたけど、昔話に入れなくて困りました(苦笑)。

 同じく年代別代表経験のない憲剛(中村=川崎)君といつもそんな話をしてたかな。2010年南アフリカワールドカップで1ヶ月くらいみんなと過ごして、やっと打ち解けましたけど、それでも心地よくプレーできたことは一度もない。

 そんな自分ですから、鹿島で黄金世代に特別なオーラを感じるのも当然かもしれないですよね」と岩政は神妙な面持ちで語っていた。

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