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女子サッカーの救世主か。なでしこリーグを無料放送、新興外資系配信企業「mycujoo」の正体

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki, mycujoo

コミュニティを広げる。日本女子サッカーのポテンシャル

 mycujooの「コミュニティを大きく広げる」というビジョンは、従業員のバックグラウンドにも繋がっている。先述した52人のうちFIFAマスターの卒業生が7人、そしてFIFAの元職員が6人在籍している。辻氏だけでなく創設者のペドロ氏も2010年のFIFAマスター卒業生で、実はモルグリス氏の前職はFIFAの普及部門だった。

「私の仕事はサッカーの普及・発展やグラスルーツ、アマチュアといったテーマに深く結びついていました。mycujooが大事にしていることとも強く関連していますし、長期的な視野で取り組んでいかなければならないものです。

mycujooには2つの側面があります。1つはビジネス的な視点で、これは組織を成長させ、サービスの提供や拡大を進めるために必要なことです。2つ目はサッカーの普及に働きかける、貢献することができきるということです。パートナーによっては、1万人以上の視聴者を我々にもたらしてくれますが、一方で10人ほどしか視聴者を集められないこともあります。

それでもパートナーによって扱いを変えることはありません。我々のゴールはmycujooのコミュニティを大きくすることで、1つでも多くの組織やクラブにプラットフォームを活用してもらうことを望んでいます。それはコミュニティを広げていくうえで非常に重要なことです。これはサッカーを普及・発展させていくだけでなくより良いサッカー体験をグラスルーツレベルに提供することにつながります」

 コミュニティを全世界的に広げていくうえで、今回のなでしこリーグとのパートナーシップはmycujooにとっても転機になるかもしれない。モルグリス氏をはじめ、同社は日本の女子サッカーに大きなポテンシャルを感じている。

「なでしこリーグは我々が今配信している中でもプレミアムなコンテンツの1つで、ウェブサイト内でも大きく取り上げると思います。今後、なでしこリーグとパートナーシップを結んでいる事実はコミュニティを拡大するうえで大きなアドバンテージになると感じています。

日本でもなでしこリーグを配信していることによって、もっと下のカテゴリのリーグなどにも興味を持ってもらえるかもしれませんし、海外でもなでしこリーグを配信しているなら私たちも配信したいと思ってくれるところも多くあるかもしれません。そういう意味で非常に重要なパートナーシップだと思っています」

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