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女子サッカーの救世主か。なでしこリーグを無料放送、新興外資系配信企業「mycujoo」の正体

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki, mycujoo

「下」を攻める理由。mycujooと日本女子サッカーの未来

なでしこジャパン
日本女子サッカー界はワールドカップで優勝した頃の活況を取り戻せるだろうか【写真:Getty Images】

 辻氏もこの意見に同意する。特にアジアでは日本のサッカーが模範になっていることが多く、急速に拡大している同地域でのmycujooのコミュニティに大きな影響を及ぼす可能性を感じている。さらに今回はなでしこリーグ1部の70試合の配信が決定しているが、今後2部以下のクラブが個別に配信を希望すれば視聴できる試合数が増えるかもしれない。

 mycujooでライブ配信されたコンテンツは、権利保有者が非公開にしない限りアーカイブとして半永久的に視聴することができる。またチャンネルを持つクラブやリーグ、協会はテレビ放送のようなマルチカメラ体制だけでなく、スマートフォン1つでもライブ動画を配信することが可能となっている。様々なシチュエーションに対応できる柔軟性もmycujooのプラットフォームが武器にしていることの一つである。

 課題は現在英語のみでのサービス提供になっていることだが、モルグリス氏は「今後日本語のコンテンツも利用できるようにしたい」と多言語対応にも意欲的で、その他の新機能のリリースも予定しているという。

「我々の会社としてのビジョンが他と違うのは、プレミアムコンテンツをどんどん獲得しようと上を見るのではなく、よりサッカーのピラミッドの下の方を開拓していきたいと強く思っているところです。これからも新たな機能をどんどん増やす予定で、クラブにとっても選手にとってもより楽しんでいただけるように開発していきます。選手にとっても自分の試合を見ることができて、試合後に自分のゴールのハイライトをシェアできるようにしたり、今後はクラブにとってもmycujooのコミュニティに仲間入りすることによって、多くのものを得られるような展開をする予定です」

 純粋なサッカー愛、クラブ愛から生まれたサービスが世界のサッカー界に革命を起こすか。DAZNの参入などでインターネット配信による試合視聴が一般的になりつつある中で、「コミュニティ」の形成を最重要ミッションに掲げるmycujooの挑戦が日本女子サッカーの新たな起爆剤となるかもしれない。なでしこリーグは今月21日の2018シーズン開幕を新たなパートナーとともに迎えようとしている。

(取材・文:舩木渉)

なでしこリーグ公式サイトでの配信視聴はこちら

【了】

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