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ハリル会見で明らか、JFAの“コミュ障”。真逆の見解。問題も共有せず認識にもズレ

text by 編集部 photo by Getty Images

ヴァイッド・ハリルホジッチ
ヴァイッド・ハリルホジッチ全日本代表監督が記者会見を行った【写真:編集部】

 ヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表前監督は27日、都内で記者会見を行った。

 今月9日に解任が発表されたハリルホジッチ氏。一貫して主張したのは選手との信頼関係やコミュニケーションに問題はなかったという点だ。「3年前から誰とも、特に選手との問題はなかった。連絡を取り合って、コミュニケーションを取り続けた」と語っている。

 一方、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長は「選手たちとの摩擦が少なからずあったと思う」と語るなど選手と監督の関係性に問題があり、そこが解任の理由になったと主張している。

 見解は180度異なる。なぜこのような事態になったのか。問題はJFA側にあるのではないか。

 ハリルホジッチ氏は記者会見でも明らかにしたが、協会内(JFAハウス)にオフィスを設け、定期的に通っていた。いつでも会話できる状態にあったのだ。にもかかわらず「問題があるとなぜ一度として言ってくれなかったのだろうか」とハリルホジッチ氏は語っている。これが本当なら基本的な意思疎通がなされていないことになる。

 当然JFAとしても反論はあるだろう。だが、コミュニケーションとは伝わらなければ意味がない。選手との関係性に問題があるとはハリルホジッチ氏はまったく感じておらず、JFA側の問題意識はまるで伝わっていない。

 選手は監督に直接言えないことを、監督以外のスタッフなどJFA側に伝えることはある。本田圭佑をはじめ監督に直接意見する選手はいたが、タイミングや言葉の壁もあり、全員がストレートに意見交換できるわけではない。そうした漏れてきた声をなぜハリルホジッチ氏に適切に伝えなかったのか。

 親善試合やE-1選手権についての認識のズレも同様だ。ハリルホジッチ氏はあくまでワールドカップ最終予選以外はテストとして割り切っていた。だが、田嶋会長をはじめJFA側は結果に満足していなかった。だったらなぜ「親善試合でも結果が重要だ」と伝えなかったのか。

 組織としての問題点を共有せず、目標設定も現場責任者(=監督)に伝えていない。これではJFA側のコミュニケーション能力に問題があると言わざるを得ない。

 ハリルホジッチ氏は今日も話しまくった。予定の1時間を30分もオーバーして、とにかくしゃべった。そこまで話しまくる監督とコミュニケーションがとれないなら、この先どんな監督とも同じ問題は起きる。

 日本サッカーの未来を考えると、暗たんたる気持ちになる。

(取材・文:植田路生)

【了】

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