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日本代表 6年前

大切な“お笑い担当”槙野智章の原点。挫折とともに歩んだキャリア、憧れ続けたW杯は目前

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「グラウンドの中でも外でも、自分の役割や仕事がある」

槙野智章
槙野智章は初めてのワールドカップに出場できるか。夢の舞台はもう手の届くところにある【写真:Getty Images】

 2006シーズンにサンフレッチェ広島ユースから昇格。カズやゴンと同じプロとなった瞬間から、ブンデスリーガのケルン、そしていま現在のレッズと歩んできたプロサッカー人生で、偉大なる先駆者が魅せてくれた背中を一度も忘れたことはない。

「この(ハリルホジッチ前監督の)チームが立ち上げられたときから、僕はずっと呼ばれてきました。選手だけでなくスタッフも入れ替わるなかで、チームの空気をわかっている1人として、グラウンドの中だけでなく外でも、自分に課せられる役割や仕事があると思ってきました。

年齢的にも上のほうになってきましたし、上の世代、真ん中の世代、下の世代の間にいい形で入っていきたいですね。コーチングスタッフにもよく知っている方々が入ってきましたし、だからこそ自分が間に入ることで、いい空気感を作っていければと思っています」

 合流初日のピッチで何度も弾けさせた笑顔や、周囲を明るくさせる立ち居振る舞いは、確かにいい意味で異彩を放っていた。初戦の2ヶ月半前に指揮官が代わったチームを内側から盛り上げるには打ってつけの存在だが、槙野によれば真の盛り上げ役は本田圭佑(パチューカ)だという。

「食事会場における笑い声や話し声、あるいは話し方で自然と中心にいるのは間違いなく本田選手だと思いますので。僕は本田選手に引っついて、わちゃわちゃしていますけど」

 4バックのセンターバックと左サイドバック。西野監督が3バックを採用すれば左ストッパー。そして、本田とともにムードメーカーも演じる。1人で複数の役割を担う男は、所属クラブを含めて、サッカー人生で最も胸を躍らせた試合をあげるのは難しいと苦笑いする。

「すべての試合でしっかりした準備をしているし、代表戦を含めて、すべてが特別なので」

 ワールドカップの雰囲気を知らないことも、これだ、という一戦をあげられない理由かもしれない。だからこそ、ロシアのピッチに立ちたい。いままでとは次元が異なる胸の鼓動を感じた瞬間に、新たな力がみなぎってくると信じて、当面の目標となるガーナ戦へ向けて槙野は自然体を貫いていく。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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