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日本代表 6年前

【岩政大樹×パラグアイ戦】勝ったからこそ、コロンビア戦へ無意識レベルまで緻密な準備を。4年前の借りを返そう

シリーズ:岩政大樹×〇〇 text by 編集部 photo by Getty Images

「勝って兜の緒を締めよ」レベルの思考では追いつかない

 選手それぞれのコンディションは揃ってきていて、チーム全体の連動性も上がっていると思います。しかし、相手が日本のやり方に対応してディフェンスラインを3バック気味にして、両サイドバックを高くして、サイドハーフを中に入れ始めた時に、どう対処するのかという具体策は少しボヤけて見えました。

 スイス戦では宇佐美(貴史)選手や原口(元気)選手が、相手のサイドバックにある程度ついたまま下がって守備をしていましたが、パラグアイ戦で同じポジションに入った乾(貴士)選手や武藤(嘉紀)選手はあえて残るような形で、高い位置をとる相手両サイドバックを自分の背中に置くようなスタンスを取りました。

 このような形になると、当然その浮いた相手サイドバックのところはひとつ狙われます。そこに対する日本のディフェンスラインのスライドは決して連動していなかったので、チーム全体の守備組織としては完璧とは言えませんでした。

 パラグアイ戦では相手のプレー精度が低く、つなげられてしまう機会は少なかったですが、コロンビアのような相手であればその隙を確実に突いてきます。日本に前線からプレスをかけさせ、サイドのスペースを起点にして崩してくる、という画をコロンビアは確実に描いてくると思いますから、パラグアイに対して守れたからといってうやむやにせず、それに対する連動の仕方を詰めておくべきでしょう。

 パラグアイに勝ったことで、チームのムードは良くなるでしょうから、当然、選手たちの前向きな姿勢がプラスに影響する面もあると思います。ただ、物事には常に裏表があるので、ここで結果が出たことが裏目に出る可能性もあると感じています。

 勝利で選手たちが前向きになっていることで、コロンビア戦もまず自分たちにとってポジティブなやり方で試合に入ろうとするでしょう。逆に言うと、コロンビアにとっては攻略しやすい、狙いが見えやすい形になったと思います。勝ったことによって誤魔化されてしまう修正点は、相当意識しないと残っていってしまうでしょう。

 これは無意識なものも含まれるので、「油断しないようにしよう」とか「勝って兜の緒を締めよ」といったレベルの思考では追いつきません。相手が狙ってくるであろう崩しに対して、“具体的に”準備を進めておくことが大切だと思います。

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