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代表 6年前

よみがえる虎、ファルカオ。プロデビューは13歳、コロンビアのエースが悲願のW杯へ【ロシアW杯】

text by 北澤豊雄 photo by Getty Images, Toyoo Kitazawa

ファルカオからハメスへ。しだいに忘れ去られ…

ファルカオ
今ではコロンビア代表のエースに返り咲いたファルカオ。少し前までは完全に過去の人だった【写真:Getty Images】

 スペイン国内で指導者として経験豊富な元セルタ監督のパコ・エレーラは、「ペナルティエリア内のファルカオは怪物。世界最高の純粋なストライカーだ」と賞賛し、バルセロナで屈強なセンターバックとして長らく活躍したカルレス・プジョルは「ファルカオはボールを持っただけで危険…」とツイートしている。

 メッシやロナウドのすぐ後ろを追いかけ、追い越せる可能性のある選手、それがファルカオだった。だが、アトレティコから移籍金約60億円でモナコに入団した1年目、左ひざ十字じん帯を損傷。5ヶ月後に迫ったブラジルワールドカップに間に合わず《悲劇のエース》となった。コロンビア代表のエースを2010年から務め、ブラジルワールドカップ予選を勝ち抜いた最大の功労者だけに当時のコロンビアは落胆ムード一色に染まった。

 しかし蓋を開けてみればコロンビアはハメス・ロドリゲスの活躍でベスト8に進出。以降、コロンビア代表の“顔”はファルカオからハメスに移っていく。怪我から復帰してすぐに鳴り物入りでマンチェスター・ユナイテッドに入団したものの、かつての動きを取り戻せずまったく振るわなかった。翌シーズンにはチェルシーへ。再起を期待されたがここでも不発に終わった。

 イングランドのメディアやファンからの評価も当然、「給料泥棒」「いつ国へ帰る?」「動けないストライカー」と散々だった。なにしろこの時期のファルカオの年俸は20億円弱と言われていたにもかかわらず、試合に出場してもまったく機能しなかったからだ。

 やがて世界のサッカーシーンも彼の存在を忘れた。コロンビアのメディアでさえ腫れ物を触るような扱いだった。プレーヤーとしての話題がいよいよ乏しくなると、コロンビアの地方都市を訪ねて子供たちにスポーツの楽しさを伝えるニュースがクローズアップされ、痛々しかった。スポーツニュースの主役はもっぱらハメス・ロドリゲスだった。

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