日本代表、最低の試合はベスト8への布石。先発変更・時間つぶしに見えた勝負師・西野朗の真髄【ロシアW杯】

2018年06月29日(Fri)11時40分配信

text by 植田路生 photo Getty Images
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試合を殺すことを決めた「空白の10分間」

西野朗
コロンビア先制の知らせを受け、西野監督は試合を殺しにいった【写真:Getty Images】

 後半早々、足を痛めた岡崎慎司に代えて大迫を投入。ここは誤算だった。できればもう少し岡崎を引っ張る、あるいは90分使って守備固めのための枠をとっておきたかっただろう。59分、セットプレーから失点。この時点でコロンビア対セネガルは同点。最低でも1点が必要だった。西野監督はすぐに手を打つ。

 65分、動きの緩慢な宇佐美に代えて乾を入れる。だが、試合の流れは変わらない。攻撃にリズムが生まれず苦しい時間が続く。焦りも生まれる。すぐに切り札が必要なはずだった。しかし、西野監督は動かなかった。本田圭佑、香川を準備させたが、一拍以上待ったのである。時間にして約10分だが、この「待ち」はあまりに長く感じられた。

 そして事は起きる。74分、コロンビア先制。乾の投入から9分後である。西野監督は試合を殺すことを決めた。82分、長谷部を入れる。長谷部は全員に監督からのメッセージを伝える。「0-1でいい」と。日本は攻めるのを止めた。ブーイングは止まらない。

 西野監督はこの時間つぶしに関して「プランになかった」と明かす。これが本音か嘘かわからない。だが、乾を投入してから動かなかった「空白の10分間」にその一手を頭に浮かべたのは間違いない。

 試合終了、0-1敗戦。その約2分後、コロンビアとセネガルの試合が終わった。1-0、コロンビアが逃げ切った。日本は敗れたが、ベスト16には進出した。主力を休ませて、さらに言えば2トップという選択肢も見せながら。

 単にベスト16に全力を注いでいたなら、もっと早くに攻撃の駒を入れていただろう。また、1点差負けを「キープする」選択肢はよほど肝が座っていないとできない。セネガルが1点を返す可能性は十分にあった。

 西野監督は試合を振り返る。「これまではすべて出しつくしてベスト16に向かった。今までとは違う。自信を持って行かせたい」と。ようやく本音を話した。

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