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日本代表 6年前

守備崩壊を食い止める吉田麻也。批判されようとも…16強の道を開いた日本の強固な結束力【ロシアW杯】

text by 元川悦子 photo by Getty Images

全員に共通する思い。戦い方の意思統一にブレなし

 その後、コロンビアがセネガル相手に1点をリードしたという情報がもたらされたことで、西野監督は「0-1の負けでも突破できればOK」という消極的な戦いにシフトする。

 長谷部誠を投入した残り10分足らずの時間は攻めにいかない日本に対してスタジアム中に大ブーイングが浴びせられたが、「もどかしさはありますけど、しょうがないかなと。僕だけ急に攻めてもおかしくなる」と守備陣のリーダー・吉田麻也も我慢するしかないと割り切っていたという。

 これは全員に共通する思いだったに違いない。ロシアを筆頭に世界各国から批判の矢面に立たされる試合をワールドカップの大舞台で演じるという後味を残しながら、日本は紙一重のところで16強進出をつかむことになった。

 6人のスタメン変更が機能せず大いに混乱したポーランド戦だったが、収穫もあった。不格好な形でも決勝トーナメント進出を決め、主力数人を休ませることができたのはその1つ。長谷部や香川真司、大迫勇也といった軸を担う選手が少しでも休養を取れたことは、今後に向けて前向きな要素だろう。

 長谷部が入った終盤の戦い方の意思統一にもブレがなかった。これも重要なポイントだ。過去の日本代表を振り返ると、2006年ドイツワールドカップ初戦・オーストラリア戦の小野伸二を投入した時間帯に象徴される通り、「守るのか、攻めにいくのかの意思統一がバラバラになってしまった」というケースが何度が何度かあった。

 しかし、外から見ていた本田圭佑が「マコ(長谷部)が入ってファーストタッチをして、セカンドタッチ、サードタッチしてから(西野さんの意図が)だいたい読めましたよね」と語ったように、この日の日本はこのプレー1つで全員が「0-1をキープしていればいいからイエローだけはもらわないようにしよう」とガッチリと固まった。その強固な結束力はここまでの2戦によってもたらされたものだろう。

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