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日本代表 6年前

日本代表史上、特筆されるべき一戦。西野Jはどのようにベルギーを追い詰め、力尽きたのか?【西部の目/ロシアW杯】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

ミドルプレスと制御不能な香川

 戦術的なポイントはコンパクトな守備ブロックを維持して、ミドルゾーンでプレスをかけ続けることだった。前がかりになりすぎるのは危険で、引いてしまうのはなおさら危ない。自陣ゴールから30~35メートルにディフェンスラインを設定すること。

 ベルギーの3バックは放置し、デブルイネとヴィツェルへパスを入れさせない。ビルドアップの軸になる2人に対しては香川、大迫が背中に置いてパスコースを遮断した。前にいるDFと背後のMF、1人で2人を制御する守備は上手くやれていた。

 柴崎、長谷部もベルギーのボランチとの距離を測りながら香川、大迫と挟む構えをみせていて、ベルギーのパスワークの中枢を制御できていた。機を見てプッシュアップしてDFに圧力をかけるところまでやれている。それでもアザール、メルテンスにシュートへ持ち込まれたが、吉田、昌子が冷静にブロックする。

 20分を過ぎると右へ開いたメルテンスが、DFとGKの間へ強烈に巻き込むクロスボールを立て続けに狙い、ルカクに危うく決められそうになるがコントロールミスもあって何とかしのぐ。

 押し込まれる時間が長くなる中、日本もカウンターから乾のヘディングシュート、長友のカットインからのシュートと決定機に近い形を作った。香川のプレーは出色、抜群のボールコントロールとアジリティ、アイデアを発揮し、ベルギー守備陣は全く香川をコントロールできない状態になっていた。香川にボールが入ればほぼチャンスになるという状況は90分間続いていた。

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