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日本代表 6年前

西野ジャパンに“足りなかったもの”とは? ベルギー戦の限界突破が示した新たな課題【ロシアW杯】

text by 植田路生 photo by Getty Images

なぜ守備を固めなかったのか?

 守りの駒は1つもなかった。吉田麻也と昌子源に匹敵するディフェンダーはいない。槙野智章はポーランド戦で不安定さを露呈し、植田直通はこれまで出場機会がなくリスキー。攻撃の選手に代わってディフェンダーを入れることもできたが、フォーメーションを崩しては逆に穴ができてしまう。

 オプションの3バックは、ベルギーに対抗できるほどの完成度はなく、攻守に貢献できる岡崎慎司は負傷のため起用するのは難しい状態にあった。守備では打つ手がなかった。

 西野ジャパンは点をとりにいくしかなかった。実際、メルテンスが不在になったベルギーは組み立てが大雑把になり、中盤では日本が優位に立っていた。チャンスも生み出せていた。81分、疲弊していた柴崎岳と原口元気に代えて山口蛍と本田圭佑を入れた。

 残念なことに、西野監督が打てる唯一の手だった。サブで使える選手は本田しかいなかった。宇佐美貴史はワールドカップのレベルにはまったく達しておらず、武藤嘉紀も香川真司や乾の戦術レベルには遠く及ばなかった。

 有効なサブを何人も抱え、実際に交代でチームをパワーアップさせたベルギーを尻目に、西野監督は今ピッチにいる選手たちのプレービジョンに託し、90分で決めきることを決断する。

 だが、やはりそう上手くはいかなかった。アディショナルタイムのコーナーキック。普通であれば、あまり攻め上がらず、またショートコーナーを使って時間を潰して延長に持ち込むが、そうしなかった。疲弊し、交代策も持たない西野ジャパンはここで勝負に出るしかなかったのである。

 何人もが攻め上がっていたコーナーキックを相手GKクルトワにキャッチされると、素早いスローイングからカウンターに結び付けられた。守るメンタリティではなかったのだから、必然の失点だった。

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