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日本代表 6年前

誰からも愛される男、本田圭佑。イメージと異なる実像。その精神力が日本にもたらしたもの【ロシアW杯】

ベルギーとの激闘を終え、本田圭佑は今大会が自身にとって最後のワールドカップとなることを示唆した。2010年南アフリカ大会での初出場から今大会まで、本田圭佑が日本サッカーにもたらしたものとは? 世間のイメージとは異なる実像を現場で取材する記者が明かす。(取材・文:元川悦子【ロストフ】)

text by 元川悦子 photo by Getty Images

悪夢を見たベルギー戦の12秒間

日本代表
最後の最後でベスト8入りの夢を絶たれた日本代表【写真:Getty Images】

 一進一退の攻防が続く中、2-2の状況で後半ロスタイムに突入したロストフ・アリーナでのベルギー対日本戦。何としてもワールドカップベスト8の壁を超えたい西野朗監督は残り10分を切ったところでスーパージョーカー・本田圭佑を投入。その彼が大迫勇也の得たFKを好位置で蹴りに行くビッグチャンスが訪れた。

 右手で味方のポジショニングを指示する姿はまるで8年前の2010年南アフリカワールドカップ・デンマーク戦を彷彿させた。が、背番号4の蹴った無回転シュートはGKティボー・クルトワの正面に飛び、惜しくも弾かれる。直後の左CKでも、本田はキッカーとして左コーナー付近に行き、ゴール前を狙ったが再びクルトワにキャッチされてしまった。

 そこからの12秒間で日本は悪夢を見ることになる。クルトワからボールを受けたケビン・デ・ブルイネが一気にドリブルで駆け上がり、右から上がってきたトマ・ムニエへ。彼の折り返しをゴール前でロメル・ルカクがつぶれ、ファーから飛び出してきたのがナセル・シャドリ。次の瞬間、まさかの逆転ゴールが決まり、日本サッカー界の夢は脆くも打ち砕かれた。と同時に、本田圭佑のワールドカップへの挑戦も終焉を迎えることになった。

「ワールドカップ、僕自身にとって最後になるんですけど…。自分がみんなをもう1個上のステージに連れて行ってあげたかったのはありますけど、あそこで決めれないのも実力だし、これが現実なんで。僕がずっと発言してきた優勝を今日活躍した若い世代にしっかり引き継いでもらいたいと思います」

 試合後のミックスゾーンで開口一番、彼は誰よりも愛してきた世界舞台から去ることを明言した。加えて「自分が現役をどう続けていくのか、サッカーに今後どう携わっていくのかを含めて整理したい」と代表引退、ひいては選手生活に終止符を打つ可能性すらあることを明かした。

 それほどまでに彼はこのロシアの大舞台にキャリアの全てを注ぎ込んできた。

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