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日本代表 6年前

ハリル解任の正当化は愚の骨頂。ベスト16進出も、世界から4年遅れの強化策【検証・西野J<5>/ロシアW杯】

シリーズ:検証・西野J text by 植田路生 photo by Getty Images

時間足りず準備間に合わず。ではなぜハリルをクビに…

 西野朗監督には時間がなかった。あらゆる場面を想定したオプションを作るには、3つのテストマッチでは不十分だった。3バックは使えるシステムにはならず、守備力を高めるためのプランを練ることもできなかった。

 加えて、人選の吟味も十分にできなかった。監督就任からメンバー発表までにテストマッチはなし。大会前までにスタメンかサブかの「テスト」はできても、試合の流れに合わせて効果的な駒となり得るサブの見定めはできなかった。

 当然である。西野監督に与えられた準備期間はわずか2ヶ月。裏を返せばよくベストメンバーが見出だせたとも言える。奇跡的であり、かなりの大博打だった。

 仮にあと1・2試合テストマッチが増えていればどうだっただろうか。ここまでの綱渡りにはならなかったはずだ。ハリルホジッチ氏の解任は、昨年12月の日韓戦の大敗が決定打だったとも言われている。だったらなぜそのタイミングで監督交代に踏み切らなかったのか。

 そもそもなぜハリルホジッチ氏を切ったのか。前監督は3年にわたって戦術と人選を吟味していた。ハリルホジッチ氏だったら勝てたと言うつもりは毛頭ないが、試合展開に合わせたオプションを用意していただろうし、ベンチに使える駒がいないという悲惨な状況にはならなかったはずだ。

 西野監督は技術委員長時代、ハリルホジッチ氏について一定の評価をしていた。少なくとも私は取材を通じてそう感じていた。何人もが指摘していることではあるが、代表監督を評価する役目を担う技術委員会をあまりに軽視しているのではないか。

ハリル解任の余波は、未来にも続く。日本の強化策は4年遅れたと言ってもいい。

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