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Jリーグ 6年前

G大阪に現れた「今野の後継者」。ベンチ入りすら未経験、宮本新監督が高宇洋を抜擢した理由

text by 藤江直人 photo by Getty Images for DAZN

高が体現する「宮本イズム」

高宇洋
宮本恒靖監督の抜てきに応えた高宇洋はJ1デビュー戦で好プレーを披露した【写真:Getty Images】

 J1戦線の折り返しとなる17試合を終えた時点で、4勝3分け10敗で16位に低迷していたガンバは、今シーズンから指揮を執っていたブラジル人のレヴィー・クルピ監督を7月23日に解任。昨シーズンからU-23チームを率いていた、クラブのレジェンドでもある宮本監督に再建を託した。

 オファーを引き受けた時点での15得点はサガン鳥栖、名古屋グランパスと並ぶリーグ最少で、25失点は6番目に多い数字だった。今シーズンからはトップチームのコーチも兼任してきた新指揮官は、得点の少なさよりも失点の多さが気になっていた。

 原因は中盤における守備の緩さにある。クルピ前監督は遠藤と組ませるボランチのファーストチョイスとして、ブラジルの名門サントスFCを率いていたときに指導し、今シーズンの開幕後にフロントへ強く希望し、期限付き移籍で獲得させたマテウスを重用してきた。

 しかし、攻撃を得意とするマテウスは遠藤と役割が重なり、その分だけ中盤のフィルターが機能しなくなる。迎えたアントラーズ戦で高を大抜擢した宮本監督は、一方でマテウスをベンチ入りメンバーからも外し、外国人枠の関係で出場機会が限られていたオ・ジェソクを右サイドバックで先発させた。

 加えて、オ・ジェソクの前方には米倉恒貴を配置。右サイドの守備力を高め、アントラーズの対面で脅威を放っていた左サイドバックの安西幸輝と左サイドハーフの安部裕葵を封じ込めることを狙った。

 抜擢された高と合わせて、いい守備がいい攻撃を生み出す、という宮本監督が抱く「イズム」が伝わってくる。実際、試合終了間際に足を攣らせた高はチーム最多の10.677kmを走破し、77分にベンチへ下がった米倉はそれでもチーム最多となる27回のスプリントを記録している。

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