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Jリーグ 6年前

ポステコグルーと愛弟子ベリーシャ、Jで再び交差する運命。横浜FM指揮官と広島FWの絆

text by 植松久隆 photo by Getty Images

貪欲に勝利を追い求める生粋のストライカー

ベリーシャ ポステコグルー
ベリーシャ(左)とポステコグルー(右)の関係はブリスベン・ロア時代に始まった【写真:Getty Images】

 マリノスの完敗直後の落ち込んだ雰囲気でなかなか聞きにくい質問ではあったが、ポステコグルー監督に教え子ベリシャとの日本での再会について尋ねた。敗戦と最愛の父を失っての緊急帰国などの疲れを滲ませたポスタコグルーだったが、「豪州で最後に会って以来だから会えたのは良かった。彼は来たばかりだし、簡単な挨拶だけ。先週、自分は父を亡くした。今日はゲームに負けはしても、我々には明日がやってきて、またチャレンジできる…」と、今の心境も交えて答えてくれた。

 饒舌だったのは、ベリシャの方だ。7月28日の浦和戦でデビューするもチームは敗戦。マリノス戦は試合の残り時間が少ない中での投入だったが、あわや初アシストというパスを出すなど、短い時間で存在感をアピールすることに成功した。

「まだまだ、こんなもんじゃない。一歩一歩積み上げて、必ずやチームの力になる」と力強く語ったベリシャだが、自らの日本での新しいチャレンジに関しては、「豪州では7つのタイトル(筆者注:Aリーグチャンピオン2回、レギュラーシーズン優勝4回、FFA杯1回)を獲って、もうそれ以上、(豪州で)望むものはなかった。だから、僕には新しいチャレンジが必要」と強いモチベーションを隠さない。

 さらには、「アンジ(ポステコグルー監督)とは、とても特別な関係で、非常に近しい存在。素晴らしいコーチである彼には、とても大きなリスペクトの念を抱いてる。ブリスベンで彼の下でプレーできたことを光栄に思う。今夜は、彼の望む結果ではなかったけど、マリノスは彼が監督であることを感謝すべき」と恩師への思いを吐露。

 こちらが、一時期、「マリノス、ベリシャ獲得」という報道が出たことも踏まえ「また、彼の下でプレーしたいか」とジャブを放つも、「いや、そうは思わない(笑)。広島に早く適応して、広島の一員としてトロフィーを勝ち取りたい。豪州からチャンピオンとしてやって来たので、広島でも勝ち続けてチャンピオンになりたい」と一笑に付した。

 ベリシャには、とにかく、プレー時間を与え続けてほしい。ハードワーキングを惜しまない彼は、必ず「Aリーグ最高のストライカー」の本領を発揮、少ない時間でもチームに多大な貢献を見せてくれるはずだ。

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