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日本代表 6年前

青山敏弘の類稀な人間力。全てが必然だった32歳での再招集、日本代表の新主将への抜てき

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「ここにいるのも、今までやってきたことも必然」

青山敏弘
2014年のブラジルワールドカップで青山敏弘は世界との差を身をもって知ることとなった【写真:Getty Images】

 4年前のブラジルワールドカップ直前、青山は合宿地のアメリカ・タンパで行われたコスタリカ戦に出場している。そこも次戦に向けて心強い材料だ。この試合で青山は山口蛍とボランチでコンビを形成。得点に絡む仕事こそできなかったが、いいアピールをして、ワールドカップ本大会のグループリーグ最終戦、コロンビア戦で出番を得るきっかけをつかんだ。

 ただ、そこからの4年間は天国と地獄の繰り返しだった。コロンビア戦で日本は1-4と惨敗。スタメン出場した青山は「この歳(28歳)になって世界のレベルの高さを知るんじゃ遅すぎる」と人目をはばからず号泣した。

 その後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督には最初に呼ばれただけで、ロシアワールドカップ出場は難しいと見られていた。しかし、西野朗監督就任によって状況が一変し、本大会直前で35人の予備登録メンバー入り。千葉県内での直前合宿にもサプライズ招集された。

 だが、その矢先に負傷が判明して、まさかの離脱。世界の舞台に立つ2度目のチャンスを失った。年齢も本田圭佑らと同じ32歳になり、次のワールドカップを目指すのがやや厳しいと目されることから、新体制ではノーチャンスかと思われたが、森保監督が満を持して抜てき。過去の日本代表も味わったことのない大地震という予期せぬ出来事をリーダーとして経験し、仲間たちを支えた。

「全て自分の成長のために必要なことだと思っているし、ここにいるのも、今までやってきたことも必然だと思っている」と本人も含蓄のある言葉を口にした。そのタフな経験は間違いなく今回の森保ジャパンの糧になる。

 長谷部が10年以上背負い続けた17番の青いユニフォームを身にまとう新たなキャプテンが被災地の人々に勇気と希望を与えるような戦いを演出できるのか。大阪に舞台を移した日本代表と新リーダー・青山のパフォーマンスはコスタリカ戦の大きな注目点だ。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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