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Jリーグ 6年前

「伝統がここまで残っているのは鹿島くらい」。神様ジーコの存在、ACL準決勝に臨む常勝軍団【宮澤ミシェルの独り言】

シリーズ:宮澤ミシェルの独り言 text by 青木務 photo by Junichi Ebisawa , Getty Images

アジア制覇を目指す鹿島に帰還したジーコ

 大会のレベルが上がっていけば、世界から取り残されないようにもなるんじゃないかな。ヨーロッパではUEFAネーションズリーグができたから、代表レベルでヨーロッパのチームと強化試合するのが難しくなっている。それなら、いい選手を日本やアジアにどんどん呼んで勝負するしかない。それにしてもネーションズリーグってすごいよな。初戦からフランス対ドイツだもん。あれをやられると日本は困っちゃうよ。

 ACLに話を戻そう。この大会に出場する日本勢は、特にシーズン序盤に苦しむ。始動して日が浅いし、日程も過密だから。アウェイから帰国して2日後にはこっちで試合なんて本当に大変だよ。気温が違うし、こっちでは長袖でやっているのにアウェイに行ったら暑くて大汗をかくというのは身体が大変。リカバリーしないといけないから戦術的な練習もロクにできないし、だからシーズン立ち上がりは厳しいよね。ある程度はターンオーバーもやっていかないと、リーグとACLとどっちが大事かではなく両方ダメになるよね。

 その中でアントラーズはACLで準決勝まで来た。アジアのナンバーワンじゃなきゃいけない、とクラブは本腰を入れているよね。J1に目を移しても、暫定ではあるけど3位まで浮上している。そんなチームにとって大きなトピックが、テクニカルディレクターとしてジーコが復帰したことだ。

 住友金属から鹿島アントラーズを作った人と言えるよね。僕らはその時に対戦相手として戦っていたから、彼の偉大さを感じるよね。あれだけのスーパースターが命をかけてもう一回体を作り直して、試合に出られるまでに持っていったのも見ているし、精悍な顔つきに戻った時も見た。

 クラブの重鎮が帰ってきたということで、選手は緩めるわけにはいかないよね。8月の(V・ファーレン)長崎戦だったかな。思い出してもらわなきゃいけないなと思って会いに行ったよ。そうしたら、30秒くらいかかったけど思い出してくれたよ(笑)

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