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Jリーグ 6年前

「伝統がここまで残っているのは鹿島くらい」。神様ジーコの存在、ACL準決勝に臨む常勝軍団【宮澤ミシェルの独り言】

シリーズ:宮澤ミシェルの独り言 text by 青木務 photo by Junichi Ebisawa , Getty Images

「伝統が崩れないのがアントラーズ」

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鹿島アントラーズがACL準決勝に挑む【写真:Getty Images】

 チームに与える影響は絶大だ。一言がやっぱり違う。リーダーっていうのは一言で変えるからね。背中でも見せるし。この人について行きたいと思わせられるか。僕はよく学校の先生とかに言うんだけど、生徒が何か悪いことをして怒っても、本当に子どもが好きで、その子も先生のことを尊敬していたら、その生徒は自分が悪かったなと思うよ。要は、誰からも尊敬されるのがジーコなんだよ。

 ジーコが帰ってきて、今季は内田篤人も復帰している。アントラーズがすごいのはチームの作り方。ベテランだけでもダメだし、ベテランがいなくてもダメだし。そこがうまく継承されている。伝統があるのはもちろん、それが崩れないのがアントラーズ。大きく切り替える時も、ベテラン、中堅、若手のバランスをいつも考えている。何が抜けてもダメだよね、という風にできている。伝統があそこまで残っているのはアントラーズくらいだ。

 今年のキャンプに行った時に(鈴木)満さんが来てくれて、「補強が今足りないと言われているけど、俺は去年獲ったつもりでいるんだよ」と。「今年は、その選手たちを伸ばしてもらう、チームの力になれるようにするのが補強だ」と言ったんだよね。しっかり組織を見ているんだよね。

 それで、この夏にはジーコが来た。内外に影響を及ぼすシンボルなんてなかなかいない。ジーコが毎試合見ているだけでも違うよね。認められたいと思うから。それに、ジーコって決してアントラーズがいい時に来たわけじゃない。例えばJ1を連覇している時とかではない。何かもう一つ、というところで来ている。その意味ではアントラーズとジーコがずっと良好な関係を築いていたということだし、それが伝統なんだよね。

 準決勝第一戦はレオ・シルバが出場停止だけど、誰が出られないとか言っていられない。むしろ「やってやる」と思っている選手ばかりでしょう。三竿(健斗)は日本代表だし、小笠原(満男)は小笠原だし。アジアのタイトルを奪うためにアントラーズがどう戦うか、楽しみだね。

▽語り手:宮澤ミシェル
1963年7月14日、千葉県出身。Jリーグ黎明期をプレーヤーとして戦い、94年には日本代表に選出された経験を持つ。現役引退後は解説者の道を歩み、日本が出場した過去5大会のワールドカップを現地で解説している。様々なメディアで活躍。出演番組にはNHK『Jリーグ中継』『Jリーグタイム』、WOWOW『スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ』『リーガダイジェスト!』などがある。

【了】

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