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日本代表 6年前

日本サッカーには「ずる賢さ」が足りない。長友佑都や昌子源が語る世界で勝つための「駆け引き」

text by 舩木渉 photo by Getty Images

Jリーグでも「駆け引き」は足りない

昌子源
昌子源が久々の復帰戦となった横浜FM戦で感じたこととは【写真:Getty Images】

 最も重要なのは勝つことだが、まっすぐ真面目に戦って勝てるような甘い世界ではないのも確かだ。時にはファウルを厭わない厳しく激しいタックルで相手からボールを奪いにいったり、言葉で相手の心を揺さぶったり、リスク覚悟で守備を強引にかき分けてゴールに突進したりする必要もある。

 ちょうど長友の発言の翌日、Jリーグの試合で「駆け引き」がクローズアップされる試合があった。YBCルヴァンカップの準決勝2ndレグ、横浜F・マリノス対鹿島アントラーズである。1stレグは後半アディショナルタイムに劇的なゴールが生まれ、マリノスが鹿島を2-1で破った。その勢いのまま迎えたマリノスホームでの一戦だった。

 結果は2-2。アウェイに乗り込んだ鹿島は2戦合計スコア3-4まで追い詰めたが及ばず。マリノスに圧倒された前半の2失点が大きく響いた。この試合に後半途中から出場した鹿島のDF昌子源は、勝敗の分かれ目は序盤にあったと語る。試合の立ち上がりから4分頃までの時間帯が流れを決定づけた。

「ファーストプレーでうちの左サイドを崩されて、ワンちゃん(犬飼智也)が触ってコーナーキックになって(30秒)、そのあと(西)大伍くんが遠藤(渓太)にくるっと回られて(3分45秒頃)とか、その時点で負けていたと思う。うちはアウェイで勝ちにいっているんだから、バーンって潰しにいってもいい。確かに天野(純)くんのセットプレーは怖いけど、それで自由にやらせるくらいだったらバチコーンと一発いったったらよかった。それはマリノスさんに関してはすごかったと思うし、本当に優勝したいという気持ちがマリノスさんの方が上やったんじゃないかと思います」

 逆転で決勝進出を掴み取るため、鹿島は先にゴールを奪いたかった。ところがホームの声援を背に積極的な姿勢を見せたマリノスに押され、前がかりになるための勢いを削がれ、2つの失点まで喫した。さらに15分に犬飼智也、29分に西大伍、36分にレオ・シルバと、鹿島はマリノスの選手を止め切れず、前半だけで守備的な選手に3枚のイエローカードが提示された。

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