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Jリーグ 5年前

饒舌な今野泰幸、これぞ絶好調の証。ガンバ7連勝の立役者、苦しみ抜いた末に取り戻した躍動感

text by 藤江直人 photo by Getty Images

饒舌な時こそ、好調な証

今野泰幸
今野泰幸は間違いなく絶好調。それはメディア対応時の様子からもよくわかる【写真:Getty Images】

 そして、連勝街道が伸びるにつれて、かつては「どんどん仕掛けてこい」と念じていた今野の胸中にも大きな変化が生じていると、レッズ戦後に声を弾ませている。

「自分がそれほどボールを触らなくても、いまは前線にいい選手が多いからね。僕は後ろでバランスを取りながらサポートして、ちょっと困ったときには僕のところへどうぞパスを、あとはご自由に、といった感じですかね。自分のところにパスが来れば落ち着かせて、また展開して、と。今日なんかはショートパスもよくつながったし、裏も取っていたし、ワンツーもよく出せていた。特に後半は、見ていてかなり楽しかったですよ」

 次節で勝ち点1を上乗せすれば、残り2試合を全敗しても柏レイソルとV・ファーレンに上回られることはない。要は自動降格圏に沈む可能性がゼロになり、直接対決で破竹の連勝を「8」に伸ばせば、最終的にベルマーレを上回ることも確定する。つまり、J1残留を一気に決められる。

「完璧に残留を決めたい。数字上、どう考えても残留と言えるところまで突っ走って、まずホッとしたい」

 いよいよ大詰めを迎えるシーズンへ気合いを新たにした今野は、再び苦笑いを浮かべながら、心の奥底のさらに奥に封印してきた、個人的な目標をちょっとだけ打ち明けている。

「実は今年、1点も取っていないんですよ。ずっと続けてきたから、マジで1点取りたいですね。ただ、いまの役割はバランスを取るのが役目だから、正直、取れる気がしない。ちょっとピンチです」

 FC東京に移籍した2004シーズンから、J1でプレーした合計12年間で今野は45ゴールをマークしている。今季もフロンターレ戦での復帰へ向けた試運転として先発し、53分までプレーした8月26日のY.S.C.C.横浜との明治安田生命J3リーグ第20節でゴールを決めている。

 開始わずか3分で決めた早業であり、J2を含めたすべてのカテゴリーでゴールを記録する快挙でもあったが、やはりJ1でのゴールを継続したいのだろう。もっとも、こうした微笑ましい話題がポンポンと飛び出してくるときは、心身両面で今野が絶好調な証。右肩上がりの曲線を描きながらシーズンを終えようとしているガンバの中心で、今野は代えの効かない存在感をますます増幅させていく。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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