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Jリーグ 5年前

中村憲剛は38歳でも代役不在。フロンターレ連覇を導いた起用法、誰の目にも明らかな進化

text by 藤江直人 photo by Getty Images

被シュート数はリーグ最少

 新たなトライは数字になって表れている。32試合を終えた段階で、フロンターレの被シュート数の合計はリーグ最少の219本。次に少ない鹿島が277本であることからも、いかに相手にシュートを打たせる状況を作らせていないかがわかる。ちなみに、昨季のフロンターレの被シュート数は、鹿島、浦和レッズ、セレッソ大阪、ジュビロ磐田の後塵を拝する316本だった。

 相手にシュートを打たれる回数が減れば、必然的に失点も減っていく。実際、フロンターレの総失点26はリーグ最少。2006シーズンの浦和がマークしている、優勝チームの最少失点28の更新も視野に入ってきたが、38歳になったばかりの中村は「守るためにプレスをかけているわけじゃない」と力を込める。

「自分たちがボールを握ることが、大前提にあるチームなので。すべては攻撃のために、点を取るためにプレスをかけている。オニさんが徹底してきたことがいまのチームに確実に息づいていると思うし、徹底すればこれだけ威力を発揮するんだ、と改めて感じています」

 中村の言葉通りに、守りながら攻めている攻防一体のスタイルは、2番目に多い札幌の394本に大差をつける、リーグ最多の434本のシュートを打っていることからもわかる。総得点53は横浜F・マリノスに1ゴール差の2位。ただ、横浜FMはリーグで3番目に多い52失点を喫するなど、攻守のバランスを大きく欠いている。

 J1が18チーム体制になった2005シーズン以降で、シュート数の多さと被シュート数の少なさでともに年間1位にランクされたのは、今季のフロンターレで4例目となる。しかし、2007シーズンのG大阪、2015シーズンと昨季の鹿島は、リーグ戦のタイトルを獲得していない。

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