3連覇へ。勝利への欲求も衰え知らず
まだ2試合を残しているものの、最も多くのシュートを放ち、なおかつシュートを浴びる回数が少ないフロンターレは、連覇とともに最強の「矛」と「盾」を手にしたと言っていい。その中心で代えの効かない存在感を放っていたからこそ、歴史に残る猛暑に見舞われた今夏の戦いで、勝負がかかる秋の陣へダメージを残さないためにも、中村はプレー時間に制限がかけられた起用が続いたわけだ。
「昨季の優勝とは全然違うというか、チャンピオンとして臨むシーズン、勝って当たり前だろうと思われながら臨むシーズンの苦しさを感じました。そうしたものを跳ね除けてここまでやってきたことに対しては、自分たちの力を評価していいと思う。もちろん、今後も目標を高くもっていかなければいけないと、今日負けて改めて感じています」
後半アディショナルタイムに喫した失点でC大阪に敗れたフロンターレだが、同時間帯で戦っていた2位の広島もベガルタ仙台に屈したために連覇が決まった。1ステージ制のシーズンに限れば、Jリーグの歴史でも、負けて優勝が決まった例は1996年の鹿島以来となる。
極めて稀有なフィニッシュも、さらなる成長へ向けた伸びしろがまだまだあるととらえれば、努めてポジティブな思いに駆られてくる。2007年から2009年にかけての鹿島しか達成していない3連覇への挑戦権を手にする来季。攻守両面で隙のないチームへ進化させて、本大会出場を決めたAFCチャンピオンズリーグを含めたタイトルを積み重ねていくための貪欲な挑戦は、休む間もなく続いていく。
(取材・文:藤江直人)
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