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日本代表 5年前

日本代表、今度は「長友&青山ロス」。吉田麻也らベテランの重要性。アジア奪還へ必要なこと

text by 元川悦子 photo by Getty Images

W杯とは異なるアジアカップのプレッシャー

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中島翔哉、南野拓実、堂安律は、主役の座を奪い取ろうというところまで来ている【写真:Getty Images】

「長友選手のポジションを奪うくらいの気持ちでやってもらわないといけないと思うし、それはどのポジションでも同じこと。こういうディスアドバンテージ(不利な状況)をアドバンテージにできるような選手が上に残っていくんじゃないか」と吉田も語気を強めたが、そういう泥臭さや貪欲さがリオデジャネイロ五輪世代以下の若手にはやや薄い傾向が見て取れる。

「新ビッグ3」と称される中島翔哉(ポルティモネンセ)と南野拓実(ザルツブルク)、堂安の2列目トリオは野心満々だからこそ、瞬く間にロシア組から主役の座を奪い取ろうというところまで来ている。その波が他にも広がっていけば、新生ジャパンは真の強い集団になっていくはずだ。

 吉田や槙野は先輩たちが苦しみながら築いてきた今の日本代表の意味をよく知っている。それを伝えていくことも、若い世代の士気を高めるだろう。アジアカップ1つ取ってみても、吉田は2011年カタール大会の優勝と2015年オーストラリア大会の8強敗退の両方を知る唯一の存在。だからこそ「『勝ったらすごい』っていう状態で『どうせ負けるだろう』というプレッシャーの中で戦うワールドカップと『勝って当たり前』と思って戦うアジアカップのプレッシャーはまた違う」という言葉が口を突いて出たのだろう。

 今回の2連戦では引いて守ることが想定されるアジア勢のキルギスとの対戦も控えている。2戦を通して柔軟に戦い方を変えられるような日本代表になれるか否か。そういう方向にチームをけん引し、若手の力を引き出すことができるのか。吉田や槙野らベテラン勢がチームのかじ取り役として圧倒的な存在感を示してくれれば、この2連戦、そしてアジアカップも成功に近づく。彼らに託されるものは少なくない。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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