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日本代表 5年前

権田修一が追い続けた川口能活の背中。日本代表としての責任胸に、作る独自のGK像

長く日本サッカーをけん引してきた、川口能活が現役を退くこととなった。 “炎の守護神”と呼ばれた先輩への憧れを口にしたのは、権田修一だ。新戦力が台頭する日本代表にあって、GKも例外ではない。日の丸を背負う身としての責任感を胸に、権田は自分なりのGK像を作る意思を示した。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

W杯4大会連続出場、川口能活が引退

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現役引退を発表した川口能活【写真:Getty Images】

 宿泊している大分市内のホテルから練習会場へ向かうバスに揺られながら、何気なくスクロールしていったスマートフォンの画面に、日本代表に選出されているGK権田修一は気になるニュースを見つけた。すべてを読む時間はなかったが、その脳裏にはある文言が刻まれて離れなかった。

「これからは若いゴールキーパーを育てていきたいと言っていたので、本当に楽しみだと思いますよね」

 所属するJ3のSC相模原を通じて、今シーズン限りでの現役引退を表明していたGK川口能活の引退記者会見が14日午後3時から、相模原市役所で行われた。相模原の公式HPで電撃的に引退が発表されたのが今月4日。引退に至るまでの経緯を含めて、川口本人から詳細が語られるのは初めてだった。

 ゴールキーパーとして歴代最多、フィールドプレーヤーを含めても同3位タイとなる国際Aマッチ通算116試合に出場。日本代表が悲願のワールドカップ初出場を果たした1998年のフランス大会から、4大会連続で代表メンバーに名前を連ねたレジェンドの言葉は、瞬く間にネット上を駆け巡っていった。

 権田の視線を引き寄せたのは、川口が歩む第2のサッカー人生だ。会見で指導者の道を歩むと明言した川口は「自分はサッカーでここまで人生を歩んできたので、やはり現場で自分の経験を伝えたい」と今後を見すえた。未来を考えただけで胸がわくわくしてくるのを、権田は感じずにはいられなかった。

「僕自身が指導してもらえるときが来るのか来ないのかはちょっとわかりませんけど、どのような選手を育てるのかはすごく興味がありますよね。日本人のゴールキーパーが、世界的に見ればまだまだストロングじゃない、というのが現状であるので。あの身長で、と言ったら失礼ですけど、能活さんはそれほど高さがあるわけでもないのに世界と対等に戦えたゴールキーパーなので。その意味でも日本人らしさであるとか、日本人でも世界に通用するという部分を、選手に伝えていってくれるんじゃないかと思います」

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