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日本代表 5年前

三竿健斗よ、世界へ羽ばたけ。国内最高の奪取力と危機察知能力、日本代表で長谷部誠の後継者に

text by 舩木渉 photo by Getty Images

パナマ戦で見せたいぶし銀の働き

 ペルセポリスのホームということもあり、鹿島の選手が放ったシュートがラインの外へ消えると、その瞬間ボールボーイからGKアリレザ・ベイランバンドへ新しいボールが渡される。そしてロシアワールドカップでも活躍した守護神は間髪入れず、距離の出るゴールキックを鹿島陣内に蹴り込む。

 ボールがラインを割ってからものの5秒で自陣に相手選手がなだれ込んでくる。ペルセポリスは序盤から徹底してカウンターを狙い、展開が早すぎてお互いに攻守の切り替えが間に合わないような瞬間もある。それでも鹿島にとってあれほどの過酷な完全アウェイの中で失点するのは危険すぎた。

 攻守を司る中盤の選手として、三竿の頭は整理されていた。守備を怠らず、バランスを保ちながら「奪う回数もあまり多くなかった」とは言うものの、常にリスクに対して目を光らせていた。

 三竿は鹿島に加入して3年目。日本代表では国内組のみで臨んだ2017年のEAFF E-1サッカー選手権(E-1)で初招集&初キャップを刻んだ。Jリーグでは東京ヴェルディ時代のJ2も含め、まもなく通算100試合出場を達成する。

 10月のパナマ戦では日本代表初先発を飾り、堂々たるプレーでその場にふさわしい実力を備えていることを証明した。ビルドアップ時にはセンターバック2人の間に落ちてボールを引き出し、青山敏弘とともにチーム全体を前進させていく。守備時には常に危険な場所をケアしつつ、積極的なプレッシングで相手の攻撃の芽を摘んだ。

 青山が最終ラインの中央まで下がってプレーしている際は、起点となる相手ボランチにプレスをかける三竿がかわされればバイタルエリアに広大なスペースを与えてしまうリスクもあったが、的確な判断でピンチを最小限に抑える、地味ながら大きな役割を遂行していた。

 これがまさに三竿の真骨頂。基本的にはダブルボランチの一角で相方とバランスをとりながら、常に最も危険なところへの監視を怠らず、ボールを奪えるとみるや一瞬の寄せで体を入れて奪いきる。味方がプレスをかけてポジションを外れた後のカバーリングにも気を利かせ、1対1の状況になればゴールへの最短経路を確実に消し、相手のプレーの選択肢を削る。

 そしてボールを奪えば、対角線への正確なサイドチェンジや、自らの飛び出しでゴールにも関わる。今季はJ1ですでに4アシストを記録し、以前よりも攻撃面で存在感を出せるようになった。

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