フットボールチャンネル

Jリーグ 5年前

柏レイソル、必然だったJ2降格。“今季ベストゲーム”で際立つ、それまでの迷走と混乱

text by 青木務 photo by Getty Images

状況はむしろ悪化。『拠り所』もなくなった

 加藤望監督体制の初陣となった名古屋戦は3-2で勝利した。監督交代直後は危機感の表れから結果を残すこともある。それを本物の力へ昇華させるためにも、ワールドカップ期間で何ができるかが重要となった。

 だが、レイソルは再開したJ1で4連敗を喫するなど低調なパフォーマンスを続けた。初戦で守護神の中村航輔が怪我で離脱すると、続く鹿島アントラーズ戦では6失点。勝利から見放された。

 戦い方は手数をかけない攻撃の一択になった。例えば昨季の連勝時のチームは相手が嫌がるプレーをし、様々な形を持っていた。今季はそれができず最初の監督交代が訪れ、変化が必要だったのは確かだが、自ら持ち味を捨てているようにも見えた。

 新たなスタイルも機能していない。前線の選手は『個』で打開しようする場面が増え、そこを抑えられると攻め手がない。ボールを失うかもしれない状況では、リスク管理も考える味方はサポートに出て行けず、結局チームとしての連動性もなくなっていった。

 連動性の欠如は守備面でも露呈。第26節・清水エスパルス戦では不用意にバイタルエリアを空け、余裕を持ってミドルシュートを突き刺されている。ピッチ上の選手は各々で奮闘しているが、まさに整理されていない状況で戦っているようだった。

 レイソルはこの数年で、立ち戻るべき確固たるスタイルを築いたはずだった。しかし、苦しい戦いを続けるうち、それをどこかに置いてきてしまった。後ろを振り返った時、拠り所となるものはなくなっていた。

 迷走を続けながら、チームはいよいよ追い込まれていった。

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top