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日本代表 5年前

アジアカップ準決勝、南野拓実が狙うべきイランの弱点とは? 背番号9がまだ見せていない本領

text by 元川悦子 photo by Getty Images

屈指のシュート技術

 実際、彼は日本人の中で屈指のシュート技術を誇るアタッカー。ペナルティエリア外側からも十分決められる能力がある。このアジアカップではゴールにできるだけ近いところへ侵入しよう考えてボールを持ちすぎたり、角度がなくなってフィニッシュに行けなくなる場面も目に付いたが、もっと判断をシンプルにしていい。思い切りのよさと大胆さが背番号9をつける男の最大の魅力。今こそその原点に戻って、自分を出し切ることに専念すればいいのだ。

 南野にとっての追い風は、最前線に大迫勇也(ブレーメン)が戻ってくること。日本の絶対的1トップが相手DF陣のマークを引き付けてくれれば、よりボランチ横のスペースが空きやすくなる。そこを堂安律(フローニンゲン)や原口元気(ハノーファー)と絡みながら徹底的に突いていけば、必ず決定機は訪れる。それを決められるかどうかは、もはや本人の判断次第と言うしかない。

 ここまではどうしても肩に力が入って空回りする傾向が強かったが、その悪循環を今こそ断ち切る時。2018年の森保ジャパン5戦で4ゴールを挙げた時の冷静さと集中力、得点感覚を取り戻すことができれば、直面している高い壁を乗り越えることができるはずだ。

「自分は攻撃の選手なんで、ゴールかアシストでチームに貢献できればいい。自分のキャリアうんぬんはチームが優勝したうえでの話。とにかく優勝して大会を終えたい」と12月末に国内合宿がスタートした時、背番号9はこんな話をしていた。個人としては目論見通りに物事が進んでいないが、幸いにして日本にはタイトル獲得の可能性があるし、南野自身もその原動力になれるチャンスが残されている。それを生かさない手はないのだ。

 この先の日本代表主力定着、そしてザルツブルクから欧州ビッグクラブへのステップアップの道を切り開くためにも、イランとの最終決戦で本来の力を出し切ること。それを彼には強く求めたい。

(取材・文:元川悦子【UAE】)

【了】

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