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Jリーグ 5年前

鳥栖・松岡大起。17歳の俊英は、久保建英だけじゃない。“3つの顔を持つ男”の青春の日々

text by 藤江直人 photo by Getty Images

勝負は細部に宿る。心を震わせた先輩たちの姿

 J2柏レイソルのホーム、三協フロンテア柏スタジアムに乗り込んだ、13日のYBCルヴァンカップのグループリーグ第2戦では新たな経験を積み重ねた。1-0で迎えた88分から、右サイドハーフで先発していたルーキーの樋口雄太(鹿屋体育大学卒)に代わってピッチへ送り出された。

 カレーラス監督の指示はしっかりと試合を締めて、勝利で終わらせること。いつ訪れるかわからない出番に備えて、特に後半はウオーミングアップをしながら集中力を研ぎ澄ませ続けた。

「終盤は相手に押されている時間がかなり長かったので、とにかく走って、まずは守備から入って貢献しようと考えていました。途中から出るときは試合の流れを読み、すでに試合に出ている選手以上の準備をしたうえで、やるべきことをやらないといけない。一人だけ準備ができていない、というのは絶対に許されないことなので」

 ここまで公式戦で4連敗と、J1の18チームで唯一、勝ち点をあげられなかった鳥栖はピッチ上の全員が体を張って、柏の猛攻をはね返し続けた。そして、4分のアディショナルタイムを超えて初勝利を告げるホイッスルが鳴り響いた瞬間、松岡は拳を小さく握り締めている。

 ベンチスタートとなった状況が、やや控え目な勝ちどきとなったのか。ちょっぴり悔しさを漂わせながら、目の前で先輩選手たちが何度も見せた、鬼気迫る執念に松岡は心を震わせてもいる。

「勝負は細部に宿るじゃないですけど、やっぱり最後は気持ちが左右すると思うので。そこを絶対的な原点としながら、プラスアルファで技術を出していけなければいけないと、あらためて思いました」

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