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Jリーグ 5年前

鳥栖・松岡大起。17歳の俊英は、久保建英だけじゃない。“3つの顔を持つ男”の青春の日々

text by 藤江直人 photo by Getty Images

久保建英と対面。負けん気の強さで奮闘

「周囲に大勢の人がいるなかでプレーすることの緊張感が、ユースとは一番異なりました」

 こう振り返る松岡が任されたのはトップ下。スタンドの視線がダビド・ビジャ、アンドレス・イニエスタ、ルーカス・ポドルスキに注がれるなかで、1トップのフェルナンド・トーレスの周囲を思い切り動き回った。総走行距離はチーム3位の11.386kmを数えた。

 ビジャに来日初ゴールを決められ、試合は0-1で敗れた。しかし、試合後に「両チームを通じて一番よかった」と松岡を絶賛したカレーラス監督は、中3日で迎えたベガルタ仙台とのYBCルヴァンカップのグループリーグ初戦でも、トップ下として先発フル出場させている。

 一転して敵地・味の素スタジアムに乗り込んだ、10日のFC東京との第3節では左サイドハーフでの先発を告げられた。この瞬間から謙虚さと並ぶ松岡の武器、負けん気の強さが頭をもたげてくる。相手チームの対面、右サイドハーフには覚醒の感を漂わせる久保建英が先発していたからだ。

 2人はともに2001年生まれで、誕生日も松岡の6月1日に対して久保は同4日と、わずか3日しか違わない。それでも、年代別の日本代表で顔を合わせたことはない。常に注目を集めてきた久保は、飛び級でひとつ上のカテゴリーに招集され続けてきたからだ。

「同じ17歳ということは、かなり意識していました。常に一歩、二歩、三歩と先を行く存在だったので、しっかりぶつかってボールを奪ってやろう、と思っていました」

 カレーラス監督の指示は、松岡によれば「サイドバックに何もさせないくらい、徹底してプレスをかけること」だった。森保ジャパンの常連となった、右サイドバックの室屋成を相手に指示を実践。そのうえで久保がボールをもてば、メラメラと対抗心を燃やした。

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