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Jリーグ 5年前

久保建英、“3階級飛び級”はあるか? 試合を動かす17歳の前に開きつつある日本代表の扉

明治安田生命J1リーグ第5節が30日に行われ、FC東京が敵地で浦和レッズに1-1で引き分けた。終了間際の失点で16年ぶりの埼玉スタジアムでの勝利とはならなかったが、この試合でも輝きを放ったのが後半17分から途中出場したMF久保建英。味方から完全な信頼を得て、敵にも認められ、試合をも動かす存在になった驚異の17歳の成長を見る。(取材・文:下河原基弘)

シリーズ:週刊Jリーグ通信 text by 下河原基弘 photo by Getty Images

一人時間差スルーパス

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久保建英【写真:Getty Images】

 これが信頼の形なのだろう。0-0の後半30分、味方が足に当てたボールが久保建英の方に飛んでいくと、自陣ペナルティーエリアの少し外にいた東京FWディエゴ・オリヴェイラが一目散に走り始める。まるで試合開始直後のような勢いで走りだすと、ハーフウェーラインも超えていく。

 疲れも出てくる苦しい時間帯。だがブラジル人ストライカーは走る。走る。まるで走れメロスの、メロスのように、ただひたすら信頼をした天才を追い越すと、それに応えるように久保は相手選手ふりほどきドリブルをしながら、足下にパスを出した。

 わずかにタイミングが合わず、ディエゴ・オリヴェイラの足に当たったボールが浮いて戻ってくると、久保は一瞬ヘディングする仕草の後に、左サイドを走ってきた味方の姿を確認して左足でのパスに変更。“一人時間差スルーパス”を受けたMF東慶悟が、丁寧にクロスを上げると、敵陣ペナルティーエリア内に入り込んでいたのは背番号9。結局70メートル近くを走って豪快に頭でゴールネットを揺らした。

 27日に生まれてきた長男のためにゆりかごダンスも披露し、ユニホームも脱いで大喜びしてイエローカードをもらったディエゴ・オリヴェイラは「一番始めに久保選手が持った時には、相手の裏へ抜けようという意識を持ってプレーしていました」と語り、続けて「彼のプレースタイルというところで、非常にボールを運ぶ力があるし、運んだ中でパスを出せる力がある。そういったものが今日の試合でも出たと思うし、本当に素晴らしいクオリティーの選手だと思っています」と話した。

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