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日本代表 5年前

日本代表の3バック、なぜ選手は混乱したのか。伸びしろは“特殊型”と“可変延長型”にあり

text by 河治良幸 photo by Getty Images

「もう少し時間が必要」と語る指揮官

 森保監督の前に広島を指揮していたコンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が用いる”ミシャ式”とも呼ばれる特殊なスライド型の3バックも存在する。また最近は主流ではなくなってきたが、マンツーマンをベースに、シンプルに相手のFWの枚数に対して後ろを数的優位にする目的で3バックを用いる監督もいる。

 ウルグアイ代表などは伝統的に3バックと4バックを併用できるベースがあり、相手が2トップで来ると事前に分かっていればスタートから3バックを敷いてしまう。いわば守備ありきの3バックだ。

 3バックの意図は多種多様であり、3バックだからこれという絶対的な戦術理論も用法もないわけだが、いざ4バックに慣れ親しんでいるチームが取り入れようとすると、どうしても形ありきになってしまい、頭より体が先に動かない状況が多く発生し、選手間の意思疎通もうまく行かないという現象が起こる。

 これはザックジャパンでも見られたが、あの当時は2011年アジアカップを前にした年末のキャンプから練習には導入されていたため、今回はそれ以上にぶっつけ感が出てしまった。

「ウィングバックが守備のときはスペースを消せる。攻撃のときは高い位置で幅を持てるという部分で、相手のディフェンスを分散させることができると思っています。相手のディフェンスを分散させる中で、ビルドアップから縦パスを入れる、そこでもう少しいい形で崩せる形が出せればよかったですけど、そこはやはり短期間の練習の中でもう少し時間が必要かなと思っていました」

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