ギクシャクした理由
試合後の会見でそう語った森保監督も、以前から言っているように流れの中での実質的な3バックというのはこれまでの4バックの中でも見られた。それは組み立て時にボランチの一人がセンターバックの間や脇に下がって相手FWのプレッシャーをいなしながらワイドに起点を作るとか、守備でもプレッシャーのかけ方によって後ろが3枚になることはこれまでの森保ジャパンでもぜんぜん珍しいことではない。
しかし、スタートポジションが3バックになり、サイドの選手がウィングバックとして基本高い位置をキープするという形はそこから多様なシチュエーションが起こるほど、それに応じた選手のイメージが擦り合わさっていないため、ギクシャクした動きや距離感になってしまい、相手が見えない状況になる。
ピッチ上の選手がプレー中にジェスチャーでやりとりする状況が多かった理由についてキャプテンの柴崎岳に聞いたが、やはり状況に応じたポジショニングなどで、確認するべきことがいつもより多かったそうだ。
例えばトリニダード・トバゴのデニス・ローレンス監督は日本のメンバーリストを見て「(日本が)3バックになりそうだという予感はありました。押し戻すにあたって、攻撃を3人にしてやろうとした」と振り返るように、7人が守って3人が攻め残るというルイス・フェリペ・スコラーリ時代の広州恒大が外国人選手の能力を生かすためにやっていたような形で日本側の対応を難しくさせた。
ただ、時間帯によってはその一人が守備に加わり、3バックで2人のFWを見るようなシチュエーションもあった。そうした相手の出方に応じた守備の取り方はファーストポジションが4バックなら多くのシチュエーションに対して選手たちがどう対応して行くか経験則があるので、多くの場合はその場で話し合わなくても連動できるし、例外事項が起きた時に素早く話し合うか、ベンチの指示を確認すればいい。