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Jリーグ 4年前

ヴィッセル神戸は最高評価と最低評価。2度の指揮官交代に混迷も“世界最高”と深化させたスタイル【2019年Jリーグ通信簿】

J1リーグの2019シーズン全日程が終了し、まもなく新シーズンが幕を開けようとしている。昨季の1年間、各クラブはどのようなシーズンを過ごしたのだろうか。今回は、8位のヴィッセル神戸の今季を振り返る。(文:編集部)

シリーズ:2019年Jリーグ通信簿 text by 編集部 photo by Getty Images

新体制で上昇に成功

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2019年シーズンは8位という成績だったヴィッセル神戸は、天皇杯優勝を果たした【写真:Getty Images】

 ダビド・ビジャ、山口蛍、西大伍、ダンクレーといった実績のある選手たちを獲得して迎えた2019年シーズン。「AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権の獲得」を最低限の目標に掲げてスタートを切り、開幕直後にはバルセロナからセルジ・サンペールを加えて強力なスカッドを形成した。

 しかし、2018年シーズン途中に三木谷浩史会長が三顧の礼で向かい入れたファンマ・リージョはわずか7戦で辞任。後を継いだ吉田孝行は7試合で勝ち点4しか挙げられず、6月8日にトルステン・フィンクが監督に就任した。

 夏にはバルセロナからトーマス・フェルマーレン、ハンブルガーSVから酒井高徳、横浜F・マリノスから飯倉大樹、大分トリニータでゴールを量産していた藤本憲明を獲得。2年前と比較するとスカッドの顔ぶれはほとんど変わっている。

 復調のきっかけは3バックへの変更だろう。第22節・大分トリニータ戦でフェルマーレン、大崎玲央、ダンクレーを最終ラインに並べた。この時点で順位を15位まで落としていた神戸だったが、大分戦後は8勝4敗と白星を先行させ、最終的には順位を8位まで上げた。元日の天皇杯決勝ではクラブ初のタイトルをつかみ取った。

 シーズン途中の難しい舵取りを強いられたドイツ人指揮官だったが、現有戦力と新戦力の融合に成功させた。高い位置からプレッシャーをかけ、ポゼッションを高めながら攻め続けるスタイルは、チームに根付いたと言えるだろう。

 ビジャは負傷で離脱した期間もあったが、コンスタントに得点を挙げ、リーグ5位の13得点をマーク。ルーカス・ポドルスキは怪我や中耳炎の手術もあり、先発出場は10試合のみに限られたが、5得点3アシストを記録。アンドレス・イニエスタもシーズンを通して戦うことができなかったものの、6得点6アシストを挙げて貫録を見せつけた。

 世界最高レベルの選手たちと、山口や西、酒井といった日本代表クラスに囲まれる中で、チームMVPとも言える活躍を見せたのが古橋亨梧だ。2トップの一角やウイングなど、前線の複数のポジションでプレーし、守備では豊富な運動量とボール奪取能力を如何なく発揮。シーズン10得点8アシストをマークし、11月には日本代表に選出された。

 終盤まで残留争いに巻き込まれた要因としては、失点数の多さが挙げられる。フィンク監督就任後も3失点以上を喫した試合は6試合あり、クリーンシートはわずかに4試合のみ。リーグで3番目に多い59失点を喫した。

 天皇杯優勝によって、最低限の目標としていた来季のACL出場は達成された。世界最高のストライカーのビジャが引退し、アジアの戦いも並行して戦う来季、神戸はどのようなプレーを見せるのだろうか。

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