サガン鳥栖、新監督招へいが悪夢の始まり。絶望的不振から奇跡の残留を果たしたが…【2019年Jリーグ通信簿】

J1リーグの2019シーズン全日程が終了し、まもなく新シーズンが幕を開けようとしている。昨季の1年間、各クラブはどのようなシーズンを過ごしたのだろうか。今回は、15位のサガン鳥栖の2019年を振り返る。(文:編集部)

2020年01月09日(Thu)10時00分配信

シリーズ:2019年Jリーグ通信簿
text by 編集部 photo Getty Images
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新監督が大ハズレ。補強も鳴かず飛ばずで…

サガン鳥栖
サガン鳥栖は2019年のJ1リーグで15位に終わった【写真:Getty Images】

 全ての困難はルイス・カレーラス新監督の招へいから始まった。

 スペイン式のポゼッションサッカーの導入を目指した指揮官の要求と、所属する選手たちのプレースタイルが合致せず、序盤戦から大不振に陥る。カレーラス監督が解任されるJ1第9節までの成績は1勝7敗1分と惨憺たるもので、唯一の勝利ものちにJ2へ降格するジュビロ磐田から挙げたものだった。

 その後、コーチから昇格した金明輝監督の下でなんとか立て直そうと試行錯誤を続けたが、最終的にはJ1参入プレーオフに回った16位の湘南ベルマーレと同じ勝ち点で、得失点差わずか「2」で薄氷のJ1残留を果たすことになる。奇跡的な幕切れではあったが、これを「奇跡」と喜ぶべきではないかもしれない。

 絶望的な大不振の中でバトンを受け取った金明輝監督は、チームと全くマッチしなかった3-4-2-1から4-4-2をベースとする手堅いサッカーに切り替えた。それでも失点は止まらず、攻撃陣も不発続きで安定感とは縁のないシーズンを送ることになる。

 加入2年目でエース級の活躍が期待されたFWフェルナンド・トーレスは、長年かかえる負傷の影響もあってコンディションが上がらず、満足にプレーできない状態が続いた。そして8月末のヴィッセル神戸戦で現役引退を決断することになる。

 世界の頂点にも立った偉大なレジェンドを送り出す花道としたかった一戦は、攻勢に出た結果、神戸の返り討ちにあって1-6という歴史的な大敗を喫してしまった。こうした攻守のバランスの悪さはシーズンを通して解決されなかった。

 主力としての活躍を期待された新外国籍選手が、FWイサック・クエンカを除いて全く使い物にならなかったのも痛かった。DFニノ・ガロヴィッチとDFカルロ・ブルシッチは日本のサッカーに順応できないまま夏に鳥栖を去った。

 そして夏に獲得したFWチアゴ・アウベスも、清水エスパルス時代のような爆発力がなく、怪我にも苦しんで本来の力を発揮できず。孤立無援状態だったFW金崎夢生をサポートするような人材は現れることなく、前線の破壊力不足が残留争いを抜け出せなかった大きな要因の1つだった。

 数少ない光明は、育成組織からMF松岡大起が台頭してクラブ史上初の高校生プロ契約選手となったことくらいか。守備陣はとりわけクロスやこぼれ球を拾われての失点に脆く、選手層も薄かった。2019年限りでMF小野裕二、MF福田晃斗、DF高橋祐治、DF三丸拡、クエンカと各ポジションの柱だった選手たちの移籍が決まっており、補強ポイントは多い。

 すでに鹿島アントラーズから期限付き移籍で加入していたFW金森健志が完全移籍に切り替わり、GK守田達弥、DFエドゥアルド、MF小屋松知哉、DF内田裕斗、MF梁勇基と、ある程度計算の立つ新戦力の加入は決まっている。それでも現状の戦力収支はマイナスで、このままでは2020年も苦しい戦いを強いられそうだ。

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