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マリノス主将・喜田拓也、1ヶ月後のJ1再開へ「人生をかけることが魂を揺さぶり、勇気に繋がる」

text by 編集部 photo by Yokohama F.Marinos

喜田拓也
【写真提供:横浜F・マリノス】

 横浜F・マリノスは1日、約2ヶ月ぶりにトップチームの全体練習を再開させた。

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4月7日からトップチームの活動を停止していた。これまで自宅でのオンライントレーニングや個人トレーニングを軸に調整を続けてきた。

 クラブによれば、4月4日以来となる全体練習ではチームを2つのグループに分け、ストレッチやパス回しなどを中心に約1時間にわたって汗を流したという。冒頭では新加入の天野純と小池龍太がチームメイトやスタッフに向けて挨拶したとのこと。

 なお練習は一般および報道陣に対して非公開で行われ、選手間の距離を十分に確保したうえで接触プレーをともなう対人練習はなし。選手ごとに用意された個別の飲料ボトルを使用して水分補給するなど、新型コロナウイルス感染を防ぐための対策も実施された。

「本当に時間も長かったですし、僕だけではなくそれぞれが多岐にわたって、サッカーだけではなくて、考えることって本当に多かったと思います。それもまた意味のあることだと思いますし、例えば自分の中でサッカーが何なのかとか、自分のあり方、自分の生きていく上で大切にしてきたことなんかもやっぱり見えてきたものもそれぞれあると思います。Jリーグ、サッカーがある意味ということも、見ているとマリノスに限らず、いろいろなチーム、選手が発信していましたし、それについては本当に素晴らしいことだと思います」

 マリノスのキャプテンを務める喜田拓也は、チームの活動が止まっていた約2ヶ月の間をそう振り返った。そして自分なりに「この期間だからこそ感じたこと」もあったという。

「グラウンドで練習できない、サッカーができないとなった時に、いろいろな人のことを思って、クラブのことを思って行動できる人が、選手、スタッフも含め(マリノスには)集まっているなとすごく感じて、それは非常に誇りに思いました。

今できる中で自分たちが何をしなければいけないのか、どういうアプローチがいいのかというところは、選手は早い段階で声を上げていましたし、スタッフの人たちとも協力して、クラブ、チームを支えていこう、何か人のために行動しようというのはすごく見えました。自分としてはそういう仲間を誇りに感じましたし、そういう人たちと一緒に仕事をできている喜びは感じました」

 マリノスでは選手たちの発案で、他クラブに先駆けて全選手が参加するオンラインイベントを開催。また、最近では「STAY STRONG TOGETHERプロジェクト」を立ち上げ、オンライン会議システムを用いた有料の選手トークショーの開催や、チャリティーグッズの販売なども始めた。

「やっぱりこの期間で、本当にいろいろな人に支えられているなというのは、みんなが感じたことだと思います。それはサッカー選手に限らないですけど、そういう(支えてくれる)人たちの存在や大切さみたいなところは、身を以て全員が体感したと思います。(中略)

直に見てもらうことの価値みたいなものは分かっていますけど、(無観客試合での開催になっても)また新たな価値や見えるものを見出せるようにしていきたいですし、そのためには自分たちが人生をかけてやっていくこと、準備していくことが、魂を揺さぶることだったり、感動、勇気を与えることにもつながると思います。

やっぱりこの期間で『サッカーって絶対に必要ですか?』って一度はなったと思います。ただ、そういうのがあるのも事実ですけど、サッカーだったり、Jリーグ、マリノスというものが生きがいだったり、何か行動するうえでの活力だったり、勇気だったりにもつながっていることもまた事実だったと思います。

そこに対して僕らが適当な準備をしていたり、中途半端にやっていたら響くものも響かない。僕らは本当に全てをかけてやっていきますし、だからこそ見せられるものもあると思うので、そこに対してはみんなでいい準備をしていきたいですね」

 J1リーグ戦の再開は7月4日に予定されている。スタジアムにファン・サポーターの姿がない状態での試合開催になりそうだが、そうなっても喜田をはじめマリノスの選手たちは全身全霊を尽くして勝利のためにまい進する。それこそが応援してくれる人々への恩返しであり、サッカーの価値の証明にもなると信じて。

 待ちに待ったJリーグのある日常との再会に向けて、ようやく本格的な準備の日々が始まった。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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