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PSG対RBライプツィヒ、予想スタメン&プレビュー。トゥヘル対ナーゲルスマン、師弟対決の行方は?【欧州CL準決勝】

シリーズ:編集部フォーカス text by 編集部 photo by Getty Images

マッチプレビュー

トゥヘル ナーゲルスマン
【写真:Getty Images】

 RBライプツィヒのユリアン・ナーゲルスマン監督にとって、パリ・サンジェルマン(PSG)を率いるトーマス・トゥヘル監督は現役時代の最後に指導を受けた恩師だった。アウクスブルクのセカンドチームでプレーしていた20歳当時、そのチームを率いていたのが駆け出しの頃のトゥヘルだったのだ。

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 膝の大怪我を負ってプレーできなくなった悲運のセンターバックに、若きトゥヘルは対戦相手のスカウティングを任せた。これがのちに“ミニ・モウリーニョ”と言われるようになる青年の指導者キャリアの第一歩だったと言われる。

 現地17日にCL準決勝の前日記者会見に臨んだトゥヘル監督は、「彼はいつも自分たちが何をしているのか、その背景にある理由を知りたがっていたので、非常に嫌な選手だった」と若き日のナーゲルスマンについて語った。

 一方で「彼が提供してくれた(対戦相手の)レポートから才能を見ることができた」と指導者としての才覚に気づいていたことも明かしている。逆にナーゲルスマンは「あれがCL準決勝でのトゥヘルとの対戦につながるとは夢にも思わなかった」と感慨深げだ。

 選手と監督としての出会いから13年経ち、お互いに監督となってCL準決勝の舞台で激突する。2人はこれまで通算3度の対戦実績があるものの、ホッフェンハイムの監督だったナーゲルスマンは1分2敗とドルトムント時代のトゥヘルに負け越している。

 だからこそ「私は何度かトゥヘルと(監督として)大戦したが、勝ったことはめったにない。それが今、変わるはずだ」と、恩師相手の一戦に向けて鼻息も荒くなる。

 “赤い雄牛たち”を率いるナーゲルスマンは、CL史上最年少の33歳で準決勝に到達した監督になった。ラウンド16では41歳でポルトを欧州の頂点に導いたジョゼ・モウリーニョ率いるトッテナムを下し、準々決勝では欧州カップ戦の重鎮ディエゴ・シメオネとアトレティコ・マドリーも撃破した。

 もちろん決勝進出を果たせば、33歳はCL史上最年少記録になる。トゥヘル監督も飛ぶ鳥を落とす勢いで評価を高める教え子に対し「ユリアンは試合中でも戦術を変えられるので非常に難しい。アトレティコ戦を見た上で比較しながら試合の準備をするのも難しい。大きな挑戦になる」と警戒心をあらわにした。

 準々決勝のアトレティコ戦を終えた後、ナーゲルスマン監督は「(ムバッペとネイマールのような)相手選手たちを単独では守れないような状況が起こるだろう。アタランタはPSGに対して1対1になるような(マークの)関係を作ろうとしていたのはわかったが、簡単ではなかった。中盤からも相手が押し寄せてくるんだ」とPSGの選手たち個々の能力の高さと危険性を強く認識していた。勝利した瞬間から、次の試合で選手たちにどんなプランを授けるか考えを巡らせていただろう。

 他方で、33歳の青年監督は選手たちから厚い信頼を勝ち得ている。アトレティコ戦で決勝ゴールを挙げたタイラー・アダムスは「ナーゲルスマンのアイディアは素晴らしい。アトレティコ相手に彼がどのように試合をコントロールし、様々なシステムを切り替えて(相手に)問題を引き起こしたか見ただろう? 彼は(僕たちの)限界を押し広げてくれる存在であり、リスクをとることを恐れていない。僕たちのような若いチームは恐れ知らずのメンタリティを持っているし、恐れ知らずの監督がいれば(勝つのは)ずっと簡単になるんだ」と指揮官に心酔しているようだ。

 果たして策士ナーゲルスマンは、強力なタレントを揃えたPSGに対してどんな戦術プランを用意してくるだろうか。そして、恩師を超えて欧州最強の座をかけた一戦への挑戦権をつかみ取ることができるのか、あるいはトゥヘルが師匠としての貫禄で立ちはだかるか。

 大国ドイツが輩出した2人の戦術家がピッチ上の22人で表現する緻密な駆け引きに注目だ。

【了】

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