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日本代表 4年前

日本代表に推したいJリーガー有力候補たち。3バック導入で浮上、汎用性の高い実力者たち【週刊J批評】

日本代表は現地時間13日にコートジボワール代表と対戦するが、今回は社会情勢を鑑みて、Jリーグの選手は選ばれていない。ただ今後、3バックを本格的に導入すると見られている日本代表で、数名のJリーガーが有力候補として浮上するだろう。(取材・文:河治良幸)

シリーズ:週刊J批評 text by 河治良幸 photo by Getty Images

日本代表は3バックを導入

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【写真:Getty Images】

 明治安田生命Jリーグはミッドウィークの14日に行われるJ1リーグ第22節に先駆けて、その前日の23時45分(日本時間)には日本代表のコートジボワール戦が行われる。

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 これまでカップ戦やJ2の試合が代表ウィークに組み込まれることはよくあったが、J1のリーグ戦が重なることが原則として無かった。しかし、新型コロナウイルスの影響の中で、リーグ戦だけは何とかホーム&アウェイを消化したいという意向で、国際Aマッチデーにも組み込まざるを得なかった。

 今回、日本代表の森保一監督が国内組を招集しなかった最大の理由は帰国後14日間の自主隔離が日本政府のプロトコルで義務付けられており、国際Aマッチデーの期間を大きく超えてクラブでの活動を妨げてしまう。もちろん代表ウィークにJ1の試合が行われることも考慮されての総合的な判断のようだが、“オール欧州組”による9日のカメルーン戦をチェックして認識したJリーグの有力候補を整理したい。

 カメルーン戦で新たに見えてきたのが、森保監督が[3-4-2-1]をA代表に本格導入しようとしていることだ。コートジボワール戦の前日会見でも「3バック、4バックをトライしたい。試合の流れを見て最終的に判断はしたいと思っていますが、選手たちにはシステムを含めて柔軟に戦えるように準備してほしい」と語った。

 今後どちらがメインで、どちらがオプションになって行くのか、対戦相手によって等分に使い分けて行くのかは分からないが、1年ぶりの活動という貴重な時期に使ったということは、かなり実戦的な導入であることを意味する。それは選手起用、ひいてはメンバー選考にも影響を与えうる。

WBの人選は?

 最も競争が激しい2列目では[4-2-3-1]ならば3人、[3-4-2-1]ならばシャドーの2人が2列目になる。ただし、後者に関して、今回の伊東純也と原口元気の起用で明確になったのが、縦の突破力や推進力、運動量を武器とするタイプは2シャドーよりウィングバックに組み込まれやすいことだ。

 ただし、ウィングバックは[4-2-3-1]のサイドバックからポジションを上げる選手も出てくる。今回であれば室屋成と安西幸輝がそうだ。順当なら右は伊東純也と室屋成、左は原口元気と安西幸輝となる。一方で酒井宏樹は3バックの右でまったく違和感のないパフォーマンスを見せたので、4バックと3バックを使い分けるプランのキーマンになってきそうだ。

 こうした起用法をJリーグに照らし合わせると、4バックと3バックの両方を使っているクラブのサイドの選手は森保監督が組み込みをイメージしやすい存在になる。この基準で浮上してきそうなのが小野瀬康介(ガンバ大阪)だ。[4-2-3-1]では右サイドハーフで、欧州組でも最もタレントが多く、国内組が割って入りにくいが、小野瀬の場合はガンバ大阪が3バックを採用する時に右ウィングバックで攻守に存在感を示している。

 そして東京五輪世代だが、橋岡大樹(浦和レッズ)は4バックなら右サイドバック、3バックであればウィングバックも可能だが、特徴としては3バック右がハマりやすい。欧州組にも酒井宏樹のほかにいないタイプなので、こうした起用法を前提にしていくならA代表にステップアップしていく足がかりになりうる。

 同じ基準で面白いのが古賀太陽(柏レイソル)だ。彼の場合はもともと右利きだが、左サイドで継続的に起用される中で左足にも磨きをかけ、キックなら右足と同等以上の精度のボールを供給することができる。

 実際に今年1月のAFC U-23選手権では3バックの左を担当していたが、右側もできるのでマルチ性と言う意味では非常に重宝しうる選手だ。EAFF E-1選手権やAFC U-23選手権の時は軽率なミスも見られたが、今シーズンは飛躍的に成長しており、東京五輪の本番までにA代表に名乗りをあげてもおかしくない。

汎用性の高い左のスペシャリスト

 首位を走る川崎フロンターレの主力選手では多くが代表の資質があることは前回のコラムでも述べたが、3バック採用で招集チャンスを高めそうなのが車屋紳太郎だ。川崎Fではメインが左サイドバック、オプションとしてセンターバックを担うが、攻守に万能であるため、3バックであればレフトバックと左ウィングバックの両ポジションで起用できるのだ。国内外を探しても、これだけ汎用性の高い左のスペシャリストはなかなか見当たらない。

 前線に目を移すと[4-2-3-1]と[3-4-2-1]の併用でさらに重宝されそうなのがFW古橋亨梧(ヴィッセル神戸)だ。[4-2-3-1]であれば左サイドハーフかトップ下のチョイスになるだろう。さらに、[3-4-2-1]の2シャドーは起点に関わりながらタイミングよく飛び出す彼のスタイルにマッチしたポジションで、久保建英など欧州組の同ポジションの選手とタイプが違うので、プレーが重なる心配があまりない。

 欧州組にも非常にタレントが多いが、代表はオールスターではないので、様々なタイプを揃えるとなった場合に他の選手にない色を出せることは大きな武器になりうる。古橋は1トップでの起用も可能だが、2シャドーが後ろにいる形の方がワンタッチプレーなども織り交ぜやすい。相手ディフェンスを背負うことが多くなる[4-2-3-1]よりも稼働しやすそうだ。

 森保監督は今回のメンバー選考にあたり、招集できないことを承知で複数の国内組をリストアップしたと言う。要するに制限のないフルメンバーでも国内組にチャンスはあるということだが、A代表にも[3-4-2-1]が導入されることで浮上してくるタイプの選手も想定しながらJリーグをチェックして行くと、今後のメンバー選考に入って来る選手が見えやすくなってくるはずだ。

(取材・文:河治良幸)

【了】

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