中島翔哉、長友佑都、酒井宏樹がCLで共演。3選手同時出場したものの…目立てなかった理由とは?【CL分析コラム】

UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージ第4節が現地25日に行われ、マルセイユはポルトに0-2で敗れた。この試合では、酒井宏樹、長友佑都、中島翔哉の日本代表選手3人が同時にピッチに立つという歴史的な出来事も起きた。しかし、彼らの共演によって見せ場はできなかった。一体なぜだろうか。(文:舩木渉)

2020年11月26日(Thu)13時01分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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酒井、長友、中島がCLのピッチに

中島翔哉 酒井宏樹 長友佑都
【写真:Getty Images】

 おそらくUEFAチャンピオンズリーグ(CL)史上初めて、3人の日本人選手が同時にピッチに立った。

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 現地25日に行われたグループステージ第4節のマルセイユ対ポルトの終盤、79分から試合終了まで、アディショナルタイムも含めて約15分間だった。マルセイユの酒井宏樹は先発していて、同僚の長友佑都とポルトの中島翔哉が79分に途中投入されたことによって3選手の共演が実現した。

 だが、3人揃っただけで、残念ながら日本人にとっての「見せ場」はほぼなかった。

 中島はポルトの左サイドから中央にかけてのエリアでプレーしていたから、DFの長友や酒井とバチバチの勝負を繰り広げてもおかしくないはずである。しかし、途中出場した時点で勝敗の行方はほぼ決していて、ボールに触る機会は限られていた。

 結果は2-0でアウェイのポルトが勝利となった。なぜ、終盤に盛り上がりに欠ける展開になってしまったのだろうか。

 おそらく両チームともに退場者を出してしまったことが最大の理由だろう。ただ1人ずつ退場しただけなら10対10になって、どちらかに数的優位が生まれるわけではない。問題は「出し方」にある。

 ポルトは苦しみながらも前半終了が近づいた39分に、左サイドバックのザイドゥ・サヌシがセットプレーのこぼれ球に詰めて先制ゴールを奪った。

 ところが、1点リードして進めていた後半の67分にマルコ・グルイッチが中央突破を試みた相手選手をスライディングタックルで豪快に倒してイエローカードを提示される。同選手は58分にも警告を受けていたため、2枚目のイエローカードがレッドカードに変わり、退場を宣告された。

 マルセイユは当然、この時点で数的優位を手にすることとなる。いよいよ反撃に出る時……のはずだった。

反撃の灯を消した愚かな退場

 いい流れに水をさしてしまったのは、ボルシア・ドルトムントから期限付き移籍中の若手センターバックだった。

 グルイッチが退場して約3分後、ポルトは右サイドからのスローインを利用して一気に相手ディフェンスラインの背後を突き、ムサ・マレガが敵陣ペナルティエリア内深くに侵入する。そこでピンチの匂いを嗅ぎ取ったレオナルド・バレルディがマレガに手をかけてしまった。

 21歳のアルゼンチン代表DFは28分にも警告を受けていたため、このプレーで2枚目のイエローカードを提示されて退場に。マルセイユはせっかくの数的優位を、たったの3分で手放すこととなってしまった。

 有利な状況を失っただけではない。ファウルで与えたPKをセルジオ・オリヴェイラに決められ、追いつくのをさらに難しくしてしまった。バレルディは軽率なワンプレーで反撃の炎を消してしまっただけでなく、失点を導いてエンジンへの再点火すらも厳しい状況にチームを追い込んでしまった。

 10対10になってからもマルセイユはいくつかチャンスを作ったが、アルゼンチン代表FWダリオ・ベネデットがことごとくシュートを外してゴールには変えられない。

 試合後に「PKの笛が吹かれる前に(左サイドバックの)ジョルダン・アマヴィにもミスはあったが、レオ(バレルディ)は大きな間違いを犯した。彼はあんな間違いを犯す必要はなかった」とアンドレ・ヴィラス・ボアス監督が嘆く気持ちも理解できる。

 マルセイユはポルトに2連敗だ。それどころかCLで「13連敗」という不名誉な記録が続いており、決勝トーナメント進出の可能性が消滅してしまった。かつてポルトを率いた経験もある指揮官は「私のお気に入りのチームと対戦する2試合に向けて、これほど注意深く準備したことはなかったのに…全てがうまくいかなかった」とうなだれた。

日本人3選手のチーム内序列は?

長友佑都
【写真:Getty Images】

 一方、ポルトはグループステージ4試合で3勝目を挙げて決勝トーナメント進出に大きく前進した。次節のマンチェスター・シティ戦で引き分け以上ならグループステージ突破が正式に決まるところまできている。

 セルジオ・コンセイソン監督は「ポルトのようなクラブが、世界最高峰のの大会であるCLに出場することは常に重要だ。我々はクラブの歴史をよく理解しており、いい仕事をしてきたと思う」と現時点での結果に手応えを口にした。

 同時にピッチに立った日本人選手たちは三者三様だ。

 酒井は右サイドバックで不動の定位置を確保していて、バレルディの退場後はセンターバックも務めた。ディフェンスラインにおけるヴィラス・ボアス監督からの信頼度はチーム内でも一、二を争う。

 一方、長友はベンチ要員を抜け出せていない。今月初旬の代表ウィーク直前に行われた国内リーグ戦で今季初のフル出場を果たしたものの、CLは今回のポルト戦が初出場。もしバレルディの退場がなければ、出番が回ってはこなかっただろう。

 ポルトの中島は「控えの一番手」という立ち位置にいる。3部クラブと対戦した直近の国内カップ戦では先発起用されたが、CLでは相変わらずベンチスタート。おそらく今後も国内リーグやCLでベンチから出番を待つことが多くなるだろうが、だいたい攻撃的な交代カードを切る際に最初に呼ばれるのは中島になっている。

 今季のチームは優秀なアタッカーが多く、かなり前がかりな構成になっているが、その中でも小柄なテクニシャンタイプの中島の存在は貴重なのだ。これからも試合のリズムを変えられる存在として重宝されるに違いない。コンセイソン監督からの評価を覆して主力の座を奪うには、何よりもゴールやアシストといった目に見える結果が必要になる。

 改めてにはなるが、CLで3人の日本人選手が同時にピッチに立つのは歴史的なことだ。昨季もその可能性はあったが、レッドブル・ザルツブルクの南野拓実と奥川雅也、ゲンクの伊東純也の3人はニアミス続きで同時出場は叶わなかったのである。

 日本代表で中心的存在を担ってきた酒井、長友、中島の3人は、ピッチの上で互いに健闘をたたえあうことができた。この貴重な経験を刺激にし、レギュラー獲りや勝利に直結するよりハイレベルなパフォーマンスにつなげていってもらいたいところだ。

(文:舩木渉)

【了】

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