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Jリーグ 3年前

杉本健勇、復活の雄叫び。マリノスで取り戻したゴールの感覚、大逆転優勝へのキーマンとなるか?【コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

大逆転優勝の鍵を握る存在に

杉本健勇
【写真:Getty Images】



 チームプレーに徹しながら、最後の局面で自分の武器である高さを活かせば、自然と結果がついてくる。そんなイメージがゴールを重ねるごとに具現化しているのかもしれない。1点ビハインドの状況で投入された札幌戦でも、ゴールシーン以外ではチームの活性化を意識したプレーが目立った。

「僕が入ってから2トップの形になったので、大然と僕が前に入って、中盤がダイヤモンドになったんですけど、大然をなるべく前に残らせて、あいつに点を取らすということは思っていました。得点ランキングのトップを走っているので、大然になんとか点を取ってもらって、と。

あと僕がちょっと下がって、相手の中盤とセンターバックの間で受けながらゴール前に入っていくことは監督からも言われていたので、そこは意識して、いいところも出せたと思いますし、大然も最後に点を取れたのでよかったです」

 序盤からエンジン全開だった札幌の運動量が落ちてきたタイミングで、相手の嫌がるポジションを取って味方からのパスを引き出し、さらに配球していく。やや下り目のポジションでポストプレーをした後は、全力でゴール前に走ってシュートチャンスに備えることを短時間の中で繰り返した。そして、84分の同点ゴールにつながっていく。

「自分のこともそうですけど、まずチームが勝つことが一番大事だと思っていますし、その中で今日は負けている中で点を取れて、大然も点が取れて勝てたのはすごくよかったと思いますけど、まだまだ足りないです。僕たちは本当に追いかけている立場なので、負けられないんでね。(札幌戦は)前半からなかなか自分たちのサッカーができなくて、攻められる場面が多かったんですけど、出番がきたら絶対にまず俺が1点取って、逆転してやるという気持ちで入ったので、よかったです」

 マリノスは札幌戦に勝利して、優勝への望みをつないだ。最終節に直接対決を残すフロンターレとは、残り6試合で9ポイント差となっている。逆転優勝を成し遂げるには、杉本の言葉通り1つの負けも、引き分けも許されない状況が続いていく。

 最近は先制されることも多く厳しい展開の試合が続いており、8月に6得点を挙げたレオ・セアラも5試合連続無得点と勢いが止まっているだけに、杉本が先発の座を奪い取ってもおかしくない。

「マリノスは優勝を目指していますし、自分もその状況で入ってきたわけなので、目標達成に貢献したいと思っています。今年が終わって優勝を達成できていれば、本当に最高だと思います」

 復活を誓ってトリコロールの一員となったストライカーは、逆転優勝へのラストピースになるか。加入当初は「俺」だった取材時の一人称も、最近は自然と「僕」になった。単なる思い過ごしかもしれないが、彼の中で何かが研ぎ澄まされるような変化があったのではないかと感じる。もちろんそれはポジティブな変化だ。となれば、ゴールを重ねるとともに自信を取り戻しつつある杉本のさらなる活躍を期待せずにはいられない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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