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Jリーグ 2年前

37歳・鄭大世は「納得できたら辞められるのかな。でも…」。元W杯戦士がJ2で感じる悔しさとやりがい【コラム】

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「しんどいなと感じたのは事実。だけど…」


 鄭大世は2006年に朝鮮大学校から川崎フロンターレに加わった。ドイツ・ブンデスリーガ2部・ボーフム、同1部・ケルン、韓国Kリーグ・水原三星を経て、2015年に清水に赴いている。同クラブでは5年半を過ごし、人生初のJ2でのプレーを余儀なくされた2016年には26ゴールと爆発。小林伸二監督体制のエースとして清水を1年でJ1復帰へと導いた。

 だが、その後、ヤン・ヨンソン、篠田善之、ピーター・クラモフスキーと指揮官が変わるたびに自身の扱いも変化。コロナ禍の2020年には出番を求めてアルビレックス新潟へ期限付き移籍を決断する。その新潟で9ゴールと実績を残し、自身を取り戻した矢先に清水との契約が満了となってしまった。

「『もうしんどいな』と感じたのは事実です。新潟でもう一花咲かせたし、そのままやめたら綺麗だなとも思った。だけど、町田ゼルビアからオファーをもらって気持ちが変化したんです。町田はここからJ1を目指して成長していくチーム。やりがいを感じたし、自分が助けになれたらいいなと思えた。それで現役続行を決めました」

 心機一転、2021年にJリーグ4つ目の新天地で新たなキャリアをスタートさせた鄭大世。ランコ・ポポヴィッチ監督も複数のJクラブを渡り歩いた日本通で、彼のキャリアや能力のことを熟知していたから、スタメン起用してもらえるはずだと確信していた。

 しかしながら、ふたを開けてみると、開幕のモンテディオ山形戦はベンチ外。そこからずっとベンチが続き、出番を与えられるのは試合終盤だけだった。となれば、当然、結果もついてこない。今季初ゴールが7月3日の栃木SC戦までずれ込むとは、本人も全く考えていなかっただろう。

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