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アンデルソン・ロペスは「まだ完全ではない」!? 1得点1アシストの衝撃デビュー、横浜F・マリノスに驚愕の新エース登場

text by 編集部 photo by Getty Images

横浜F・マリノス 最新ニュース

アンデルソン・ロペス
【写真:Getty Images】



途中出場で1得点1アシストの衝撃デビュー

 圧巻のパフォーマンスだった。



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 2022年のJリーグ開幕戦が19日に行われ、横浜F・マリノスとセレッソ大阪は2-2で引き分けた。

 マリノスは前半の40分にコーナーキックからDF進藤亮佑にゴールを許し、1点を追いかける展開に。そんな中、66分にピッチへ送り出されたのがFWアンデルソン・ロペスだった。FWレオ・セアラに代わって3度目のJリーグデビューを果たしたストライカーは、驚異的な活躍を披露する。

 まずは投入直後の69分、ペナルティエリア右手前でボールを受けたアンデルソン・ロペスは4人に囲まれながらドリブルで仕掛け、相手ディフェンスが股を開いた一瞬を見逃さずに中央へ折り返す。そしてゴール前でFW仲川輝人が押し込み、マリノスが同点に追いついた。

 さらに78分、今度は自らゴールネットを揺らした。ペナルティエリア手前で相手の中途半端なクリアボールを拾うと、滑りながらも左足でシュートを放つ。相手DFに当たったボールは勢いを失うことなく、ゴールへと吸い込まれていった。

 本人の言葉やケビン・マスカット監督のこれまでの話の内容を総合するに、まだ調整段階だと思われていた助っ人ブラジル人ストライカーは、途中出場からの1得点1アシストで一気にスコアをひっくり返した。最終的には90分に再びコーナーキックから失点して追いつかれてしまうが、アンデルソン・ロペスのインパクトは薄れない。

 試合後、オンラインで取材に応じた新11番は「勝ち点3を取れたら完璧なデビューだったと思う。雰囲気もすごくよかったし、デビューできたこと、チームに少しでも貢献できたことはすごく嬉しい」とマリノスデビュー戦を振り返った。

 この言葉からもわかる通り、アンデルソン・ロペスは非常に謙虚だった。際立った結果を残しながらも「悔いが残るのは引き分けのところ」と、チームに勝利をもたらせなかったことを残念がっていた。

 アシストの場面に関しても「ペナルティエリア付近でボールをもらって、そこで相手の逆を突いてクロスを入れたところに、テル(仲川)がいいポジションを取ってくれていて、ゴールになった」と、あくまで得点を挙げたチームメイトを称える。自らのゴールシーンも「相手に当たって、それでも入ってくれたのでよかった」と喜びは控えめだった。

 当初は「プレーしたことがない」左ウィングでの起用も予想されていたが、蓋を開けてみれば「右ウィングかトップの方が気持ちよくプレーできる」と話していた通り、1トップの位置に入った。ボールを持てば積極的に仕掛け、ゴールに向かって突き進んでいく。攻撃から守備への切り替えも早く、相手ボールホルダーへのプレッシャーも怠らない。

 スピードやパワー、足もとのテクニックだけでなく、献身性や高いシュート技術も兼ね備えていることを迫力満点のプレーの数々で存分に示した。破壊的な突破力と優れた戦術理解力は、今季のマリノスにとって大きな武器となるに違いない。

 ケヴィン・マスカット監督も「本当にポジティブなスタートでした」とアンデルソン・ロペスに賛辞を惜しまない。

「(後半途中から)交代出場して、『相手が疲れているからロペスはうまくいったんじゃないか』と思う人がいるかもしれませんが、それは関係ないです。相手がすごく深く守っていたので、そうなったらアンデルソン・ロペスのような選手がすごく合うのではないかと思い、投入しました。その中で、彼が持っているもの、今日までに準備してきたものをしっかりパフォーマンスとして出してくれていました」

 スペースの少ない局面でも強引に突破口をこじ開けることができ、スペースが豊富にある場面では抜群のスピードやパワーを生かしたダイナミックな動きが光る。そんな迫力満点のプレーでファン・サポーターのハートを掴んだ新エース候補だが、マスカット監督は「まだまだ彼が完全ではないのは明らか」と言い切る。

 なんと恐ろしいことか。

 アンデルソン・ロペスは今月9日のチーム合流直後の取材の中で「マリノスではたくさんのゴールを決める自信がある、すごくいいシーズンになるんだろうという予感がしている」と話していた。セレッソ戦のパフォーマンスが「完全」から遠いものだとしたら、完璧なコンディションを取り戻した時にどんな姿になっているか、期待ばかりが膨らんでいく。

「正直まだ100%のコンディションではないけど、試合を重ねていけばベストコンディションに持っていけると思うし、あとは日々の練習によって、僕のベストコンディションに持っていけると思う。今日の試合に関しては、チームに貢献できたことは嬉しいけれども、引き分けで終わったのが悔しい」

 向上心に満ち溢れるアンデルソン・ロペスは、対戦する相手チームを震え上がらせることになるだろう。少なくとも現時点では、今季のJリーグを席巻するであろうポテンシャルの一端しか見せていない。これからの進化がますます楽しみになる30分間だった。

(取材・文:舩木渉)

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