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Jリーグ 2年前

「意味がない」前線からプレスとは? 川崎フロンターレが築く堅守。「跳ね返せる自信」はどのように生まれるのか?【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

凄まじい川崎フロンターレの意思統一



 それが25分の先制点。相手スローイン時にハーフウェーライン付近でボールを受けた酒井を橘田健人らが複数で囲み、奪ってからが早かった。

 脇坂泰人がチャナティップに展開し、彼は鋭いスルーパスを前線へ供給。これをレアンドロ・ダミアンがスルーし、左からゴール前へ飛び込んだのがマルシーニョだった。中谷進之介の背後を取った背番号23は守護神・ランゲラックの位置をしっかりと見て右足を一閃。確実にシュートを突き刺したのだ。

「毎日シュート練習は繰り返しやっているし、すごく落ち着いて決めることができた」という助っ人の一撃で、川崎はいい時間帯に1点のアドバンテージを得た。

 そこから前半終了までの20分間は、いい距離感でボールを奪い、連動性の高い攻めの繰り出すという川崎の真骨頂が前面に出た。

「ホントに距離感が素晴らしいなとやってて思いましたし、取られてもすぐに取り返せる位置にいる。そういうところを含めて完成されたチームだと思いました」と仙頭も脱帽したほど。確かにこの時間帯は昨季までの王者の風格を大いに感じさせる戦いぶりだった。

 そして後半。名古屋は左にマテウス、右に相馬勇紀という並びだった両サイドを入れ替え、攻撃のギアを上げてきた。これでサイド攻撃が活性化し、彼らは数多くのCKを奪取する。そうなると川崎守備陣は耐え忍ぶ状況を強いられる。それでもこの日はキャプテン・谷口彰悟を中心に確実に応戦。隙を作ることなく、ゴールを死守する。全員の意思統一の高さは凄まじいものがあった。

 谷口はこう振り返る。

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